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抗議の声を上げるNAJAT代表の杉原浩司さん(右)ら=29日、東京都千代田区の三菱重工本社前で

 政府が検討する敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有に反対し、陸上自衛隊のミサイル「12式地対艦誘導弾」の長射程化の中止を求める抗議活動が29日、同誘導弾を製造する三菱重工本社(東京都千代田区)前であり、参加者約20人が「死の商人になるな!」と抗議の声を上げた。

 政府は、国家安全保障戦略など安保関連3文書を年内に改定する予定で、反撃能力保有は焦点の一つとなっている。一方で射程百数十キロの12式地対艦誘導弾の射程を1000キロ程度に延ばし、護衛艦や航空機に搭載する研究も進み、防衛省は来年度概算要求で開発費272億円を要求している。

 抗議行動には「武器取引反対ネットワーク(NAJAT)」のメンバーらが参加。東京都渋谷区の無職有村文枝さん(69)は「かつて朝鮮特需で軍需産業が潤い、戦後日本の復興を支えたという見方もある。だが戦争で利益を上げることは許せない」と怒りを口にした。

 京都橘大学名誉教授の小寺隆幸さん(71)は「長射程のミサイルをどう使おうとしているのか。仮に北京や平壌にミサイルを撃ち込んだら、逆に多数のミサイルが日本にも撃ち込まれることになる」と批判した。

 NAJAT代表の杉原浩司さん(57)は「敵基地攻撃能力の保有は憲法違反ではないか。企業の社会的責任が厳しく問われる中、ミサイル開発は、いますぐ中止してほしい」と訴えた。この日は、三菱重工小牧北工場(愛知県小牧市)前でも抗議デモがあった。(望月衣塑子)

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