大阪府高槻市にある辻元清美・参院議員の事務所、同茨木市のコリア国際学園、大阪市淀川区の創価学会関連施設にそれぞれ侵入し、窓ガラスを割ったり、置いてあった段ボールに火をつけたなどとして、住居侵入や建造物損壊など3つの罪で起訴されている30歳の男性被告人の判決が、12月8日に大阪地裁で言い渡される。(ライター・碓氷連太郎)

●男性は3つの事件で罪に問われている
今年3月1日深夜、辻元清美議員の事務所の窓ガラスを割り、その窓の内側を覆っていた石膏ボードも破壊して事務所に侵入。関係者の名簿を窃取するために事務所内を物色したものの、警報が鳴ったため、何も取らずに逃走した疑い。

また、1カ月後の4月5日深夜、コリア国際学園のフェンスを乗り越えて敷地内に侵入し、ピロティに置かれていた段ボールに火をつけ、床を損傷させた疑い。

さらに5月4日深夜、創価学会淀川文化会館の敷地内にも侵入し、窓ガラスにコンクリートブロックを投げつけて割るなどした疑い。

●ほぼツイッターの情報のみで「反日」と判断
政治家の事務所とコリアン系インターナショナルスクール、そして宗教団体の施設を狙った理由について、男性は公判で「立憲民主党は日本を滅亡に追い込む組織」「在日韓国人や朝鮮人を野放しにすると、日本人が危険にさらされる」「創価学会は日本を陥れる組織」と思い込み、犯行におよんだと述べている。

男性は2021年5月21日から2022年5月1日に逮捕されるまでの間、情報収集の手段は「ほぼツイッター」で、そこで集めた意見に「偏りがあるとは、とくに思っていなかった」と語っている。標的とした理由について、次のように語っている。

・辻元議員は「拉致被害者家族を愚弄し、在日米軍、自衛隊など、日本を守る政策や組織をバッシング」している

・「北朝鮮が邦人拉致やミサイル発射していたり、韓国人が日本への抗議デモやシャインマスカットの詐取」しているから、コリア国際学園を敵と認識した

・創価学会は「公明党が中国を擁護する発言をしたり、韓国とつながっているという噂」がある

その裏付けについて、検察から問われると、男性は「とくにないですね」と答えていた。本人が認める通り、いずれにも根拠はなく、コリア国際学園に至っては、日本、韓国、中国、アメリカなど多様なルーツを持つ学生が在籍していて、現在一番多いのは日本人生徒だという。

●謝罪文からは「反省」伺えない文言も
男性は自身の犯行について「やめておけばよかった。思慮に欠けていた。暴力に訴えて周りの人を傷つけて家族に迷惑をかけて、社会的な反感しか得られない。被害者に対して、攻撃されるようないわれがないのに攻撃してしまったことに対して、申し訳なく思っている」と反省の言葉を述べた。

しかし、辻元議員への謝罪文にはこう記した。

「立憲民主党は日本人を根絶やしにし、中国や北朝鮮といった国々に日本の植民地化を進めさせる組織であると判断しました。立憲民主党に近い意見を売国奴、もしくは平和ボケの戯言として耳を傾けていませんでした」

「暴力に走らないことを、加害者になりたくない腰抜け、あるいは行動を起こさない愚か者と考え、バカにしていました」「自分の意見を主張するには違法行為ではない、人を攻撃しない方法を用いることとします。辻元先生にはぜひ立憲民主党の代表に就任されていただきたい」

また、コリア国際学園に対する謝罪文にも、本当に反省しているのか疑問が残る言葉を記していた。

「北朝鮮による邦人拉致やミサイルの発射と言ったテロ行為や、生物の殺傷を辞さない行為等の情報から、在日コリアンは日本に敵意を持ち日本人なら何をしてもいいと思っていると判断し、学園の皆様もまた日本人の命や財産を奪う存在だと思いました」

「在日コリアンは法で裁けない、力ずくで排除するしかないと考えました」「若い生徒の皆さんが理不尽に他者を抗議する愚か者を反面教師とし、暴力では何も変わらない、誰も味方にならないということを理解していただけたらありがたいです」