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(写真左から)立憲民主党の泉健太代表、共産党の志位和夫委員長、日本維新の会の藤田文武幹事長

 相手のミサイル発射拠点などを攻撃する反撃能力(敵基地攻撃能力)保有などを打ち出した国家安全保障戦略など3文書改定について、野党の評価は割れた。

 立憲民主党は16日、「正確な着手判断は現実的には困難で、先制攻撃とみなされるリスクが大きい」などとして、「『反撃能力』には賛同できない」とする泉健太代表名の党声明を発表した。

 声明では「『外交安全保障戦略の方向性(仮称)』をまとめる」としたが、発表時期は示さなかった。

 泉氏ら執行部は一定の条件下での反撃能力の保有を容認することを目指していた。安保政策で現実路線にかじを切るのが狙いだ。9月に設置したプロジェクトチームのトップに玄葉光一郎元外相を充てて取りまとめを委ねた。

 しかし、立民はリベラル系議員らを中心に結党した経緯があり、今月9日の会合ではリベラル系から「反撃能力は不要だ」「自民党の土俵に乗るべきではない」との反対論が噴出。政府の閣議決定前の取りまとめは見送った。19日にも議論するが、ある党幹部は「急いでまとめる必要はない」と述べた。

 共産党の志位和夫委員長は記者会見で反撃能力の保有に関し「専守防衛の完全な放棄になる」と批判した。

 一方、日本維新の会は今月上旬、反撃能力を保有するよう岸田文雄首相に提言した。藤田文武幹事長は16日の記者会見で「反撃能力に踏み込んだことは一定の評価をしたい」と述べた。

 「自衛のための打撃力(反撃力)の保持」を明記した提言を首相に渡した国民民主党も16日、「提案した考え方がおおむね反映された」と評価する談話を発表。安保政策を巡る考え方に、野党内で大きな開きがあることが改めて浮き彫りとなった。

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