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浮島丸事件犠牲者の遺骨返還のための政府間協議を求める記者会見で、韓国からリモートで意見を述べる遺族(右手前のパソコン画面)=2022年12月19日午後3時30分、東京・霞が関の厚生労働省、阿久沢悦子撮影

 戦時中に日本軍に動員され死亡した朝鮮人軍人・軍属や労働者らの遺骨を祖国に返そうと、市民団体が19日、韓国・北朝鮮両国との政府間協議を求めて厚生労働省に要請書を提出した。高齢化した韓国の遺族らからの「一日も早く遺骨を祖国に迎えたい」との願いを伝えた。

 未返還の遺骨は、東京都目黒区の祐天寺に厚生労働省の委託で仮安置されている700人分。うち朝鮮半島南部出身の275人分は、終戦直後の1945年8月、青森県から朝鮮へ向けて引き揚げ中の輸送船が爆発した「浮島丸事件」で犠牲になった労働者らだ。残り425人分は朝鮮北部出身で、元軍人・軍属の遺骨が含まれるという。

 祐天寺には71年、厚労省が管理する朝鮮人の遺骨約2300人分が仮安置された後、韓国への返還が断続的に行われたが、2010年が最後となっている。朝鮮北部出身者の遺骨返還は、北朝鮮との国交がないことなどから進んでいない。

 要請書は、事件の犠牲者について出港地の青森と沈没地の京都、遺骨保管先の東京の3カ所でそれぞれ追悼行事を続ける3団体が連名で提出。遺骨返還の早期実現を求めた。提出後の記者会見では韓国の遺族もリモートで発言した。(編集委員・北野隆一)

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