4ストロークガソリンエンジンは、燃焼エネルギーの大半を熱損失として捨てている。再利用の手段として一般的なのがターボチャージャーだが、間にデバイスを用いずに直接排気エネルギーを使おうと考えたのが、この5ストロークエンジンである。開発者のシュミット氏は、「出力のためには低圧縮に、効率のためには高膨張にしたい。しかし従来のオットーサイクルでは圧縮=膨張ではないか」と課題を掲げた。圧縮<膨張としては近年ミラーサイクルが有効策だが、熱損失の回復には結びついていない。これらの要件をすべて満たす機関として、5ストロークエンジンは考案された。

https://motor-fan.jp/tech/wp-content/uploads/sites/5/2022/02/big_main75893_20201002092650000000-1024x839.jpg
https://motor-fan.jp/tech/wp-content/uploads/sites/5/2022/02/big_4604849_202010020926500000001-1024x768.jpg

シリンダーブロック。ご覧のように直列とも言いがたい、どちらかといえば狭角V型のような気筒配列を持つ。両側が高圧側シリンダーで、中央が低圧側シリンダー。低圧側はボア/ストロークともに低圧側よりも数値を大きくしている。

中間に挟まれる低圧側シリンダーは膨張と排気行程のみのため、圧縮比は低いものの、フリクションは当然ながら増えている。また、低圧側をのぞけば360度クランクの直列2気筒構造であり、自動車への搭載には騒音と振動対策が要されるだろう。

いっぽうで仕様をみれば、最大トルクは5000rpm、最高出力にいたっては7000rpmもの高回転で得られていて、どのような設計としているのか興味は尽きない。現在は2+1気筒構造のプロトタイプであり、さらなるステージとしては吸気ポートの2本化、エキゾーストバルブにスイッチタペットを用いることによるターボの高効率利用、そして直噴化などを将来展望として掲げている。これらを踏まえ、BSFCを215g/kWhとし、プロトタイプからさらに20%の軽量化、そしてリッター当たり出力として150hpをねらっている。

中間に挟まれる低圧側シリンダーは膨張と排気行程のみのため、圧縮比は低いものの、フリクションは当然ながら増えている。また、低圧側をのぞけば360度クランクの直列2気筒構造であり、自動車への搭載には騒音と振動対策が要されるだろう。

いっぽうで仕様をみれば、最大トルクは5000rpm、最高出力にいたっては7000rpmもの高回転で得られていて、どのような設計としているのか興味は尽きない。現在は2+1気筒構造のプロトタイプであり、さらなるステージとしては吸気ポートの2本化、エキゾーストバルブにスイッチタペットを用いることによるターボの高効率利用、そして直噴化などを将来展望として掲げている。これらを踏まえ、BSFCを215g/kWhとし、プロトタイプからさらに20%の軽量化、そしてリッター当たり出力として150hpをねらっている。

■ specifications
Configuration:狭角V型3気筒
高圧側シリンダー
・Bore×Stroke:78×73mm
・Displacement:350cc×2
・Compression:7:1
低圧側シリンダー
・Bore×Stroke:106.9×88mm
・Displacement:778cc
・Compression:25:1
トータルでの膨張比:14
最大トルク:166Nm/5000rpm
最高出力:96.94kW/7000rpm
BSFC:226g/kWh

つづき
https://motor-fan.jp/tech/article/15022/