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Photo: Wikimedia - Kurt Groover and Nathan Boor of Aimed Research

音速の5倍で飛んでくる銃弾も吸収できる。

そんな驚異の衝撃吸収マテリアルが開発されたようです。

ボディアーマー(防弾チョッキ)強化用の素材なわけですが、軍用のみならず他分野への応用も期待されています。

開発のカギとなったタンパク質「タリン」って?
英ケント大学研究チームは、タンパク質「タリン」がもつ「細胞の衝撃吸収材」としての特性に目を付け改良を加えました。

通常のボディーアーマーはセラミックと繊維化合物を幾重にも重ねた素材になっていて、弾は貫通しないけど、衝撃で人体ともどもズタボロになってしまいがち。アーマーの傷みが激しいと毎回別のものに換えなきゃいけなくて、決してサステイナブルとは呼べません。

その点、タリンは、圧力が加わると分子レベルで広がってエネルギーを拡散し、被弾後また元に戻る構造になっており、細胞が外圧に強く、何度でも衝撃を吸収できる特性を備えています。ほかの素材と合わせてTSAM(Talin Shock Absorbing Material:タリン衝撃吸収素材)に加工しても、衝撃吸収力が損なわれることはありません。

音速の5倍で飛んでくるアルミ片も無傷でキャッチ
研究チームでは、まずTSAMに玄武岩粒子(太さ約60µMで髪の毛の先ほど)をぶつけて様子を見てから、もっと大きなアルミ片を秒速1.5kmでぶつける実験をしました。秒速1.5km(時速約5311km)というと、音速が秒速331.45m(時速1193.2km)なのでそのざっと5倍。拳銃で9mm弾を発射したときの約3倍の速さに相当するわけですが、そんな超高速でぶつかったアルミ片をしっかり吸収してくれて、しかも受け側のTSAMが破損することもなかったそうですよ?

戦車砲まで吸収できるかどうかはわかりませんが、それでも一定のポテンシャルは示されたかたち。兵士が装着する軽いボディアーマーに応用すれば、高い衝撃吸収力を保ちながら何度も着用できる製品になりそう。

とくに応用が期待されるのは、航空宇宙産業においてです。超音速で塵や宇宙ゴミが飛翔体にぶつかると、どんなにちっちゃな破片でもダメージ大なので、こんなマシュマロマンみたいな素材で機体を包めたら長持ちしそう。また、塵、デブリ、小流星のサンプルを傷めずに回収できるメリットも見逃せません。

昔売れたNokiaみたいな不死身のケースがそのうち生まれるかもしれませんね。

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