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インタビューで記者の質問に答える社民党の福島瑞穂党首=東京・永田町の参院議員会館で

<安保政策大転換 私はこう考える>

 敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有に明確に反対する。行使の基準が曖昧な安全保障関連法に基づく「武力行使の新3要件」で存立危機事態に認定し、集団的自衛権で敵基地攻撃するなら、日本が攻撃されていないのに相手国の領域を攻撃することで、誰が見ても先制攻撃に当たる。そうでないならば、その根拠を示すべきだ。

 岸田文雄首相は憲法の範囲内で先制攻撃はしない、専守防衛は守ると言うが、それは違う。1972年、当時の田中角栄首相が衆院本会議で「専守防衛のもと防衛上必要であっても敵基地を攻撃しないという基本方針は変えない」と断言している。相手国の中枢部などをたたくのは、専守防衛に反する。

 日本が平和国家をかなぐり捨て、軍拡競争に入り込んで戦争への道を突き進んでいるのではないかと危惧する。敵基地を攻撃すれば相手国が反撃するのは当たり前で、まさしく日本が戦場になるのではないか。そうなれば、取り返しがつかない。

 防衛費の国内総生産(GDP)比2%への増額も、数字ありきで根拠が示されていない。法人税や所得税などの増税を決めたが、それだけでは足りず、最終的には消費税で賄うのではないかと懸念するが、財源の見通しなく増税を唱えるのは無責任だ。増額により防衛費が世界3位の軍事大国となれば、憲法9条を持つ平和国家と言えるのか。

 とりわけ、国是としての専守防衛を180度転換するわけだから、国会での議論が必要だ。岸田首相は「あらゆる選択肢を排除しない」と述べるだけで、多くのことを明らかにしない。専守防衛を踏みにじり、先制攻撃になるようなことを閉会中に閣議決定だけで決めるのは、国会を軽視している。当時の安倍政権が歴代政権の憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認した時もそうだったが、重要なことを閣議決定で決めて国民に説明しないのは問題だ。 (聞き手・曽田晋太郎)

ふくしま・みずほ 1998年の参院選比例代表で初当選。5期目。弁護士。党幹事長、党首を歴任後、2009年に誕生した民主党との連立政権で内閣府特命担当相を務めた。20年に党首に再任。宮崎県生まれ。東大卒。67歳。

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 敵基地攻撃能力の保有や防衛費の大幅増などに関し、年明け以降も識者や国会議員らの意見を聞いて随時掲載します。

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