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11月に開催されたEICMA(ミラノショー)はその出展内容から、次年度登場の新機種が予見できるバイクショーとして知られている。ホンダブースを飾ったCL500の出展は同「CL」ブランドの復活新規投入として多くの話題を集めている。そんな中、報道関係者を対象に国内向けCL250(試作車)や純正アクセサリー装着車両が披露された。詳細解説等の一切は未公表。「量産車とは一部仕様が異なる場合がある」という注釈つきで撮影のみが許されたのである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●小峰 秀世(KOMINE Hideyo)
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン

冒頭に記した通り、先ずはCL500がEICMA 2022に出展された。プレスリリースから抜粋すれば、「モダンなイメージを持たせたスクランブラースタイルモデルです」とある。「CL」というネーミングを耳にすると、おそらくブランニューモデルと思う人も多いだろう。しかし初代CLは60年前に登場した「ドリームCL72スクランブラー」が発端。下の写真の通り1960年登場の傑作車、ドリームCB72(250cc)スーパースポーツがベース。同エンジンを搭載し、アップハンドルとアップマフラーにショートタンクを備え、ラフロードでの走行性をアップさせていた。
主にアメリカ市場をターゲットに開発された国産初のスクランブラーと言われ、バックボーンのダイヤモンドタイプだったCBに対して、フレームはシングルながらクレードルを形成する高剛性化が追求されていた。
スポークタイプのホイールもフロントに19インチサイズを採用。エンジン諸元は共通としながらも、セルモーターを廃してキック始動専用として軽量化設計も施された。
つまりオフロード車の草分けとなるに相応しい、拘りの専用設計が成されていた。日本でもその人気は侮れず、1970年頃までに50~450ccまでシリーズ化されるに至り、CLブランドが確かな地位を獲得したのである。もっとも当時はバイクでツーリングに出かけると、工事中を含めて未舗装のダートを走る機会が多かっただけに、実用的なバイクを求める上での賢い選択肢としてもスクランブラータイプはそれなりの支持を集めていた。
その後はSLやXL~XLRへと、より高いオフロード性能を追求して高性能化したモデルへと進化の一途を辿る。
当のCLブランドは、しばらく間を空けた後の1997年にレトロなCL50が、さらに翌年にはミドルシングルエンジン搭載のCL400がリリースされたものの、それを最後に、CLの名はラインアップから消滅してしまった。

つづき
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