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2023/01/03(火) 20:54:01.37ID:vGUL76JOhttps://news.yahoo.co.jp/articles/26d850b7761f3be0bf4b33aec7919896147d80e9
政府の全世代型社会保障改革が今年、正念場を迎える。現行制度は高齢者が手厚い給付を受け、現役世代に負担が偏りがちだが、政府はこれを転換し、高齢者にも経済力に応じた負担を求め、現役世代の負担を和らげる形に見直しを進めている。だが、高齢者の負担が増す介護分野で議論の先送りが目立ち、厚生労働省幹部は「現状は道半ばだ」と指摘する。抜本的な制度改正に踏み込めるのか、岸田文雄首相の本気度が問われる1年が始まった。
■介護…高齢者負担増先送り
政府は高齢者人口の増加を見据え、介護サービス利用時の自己負担額(原則1割)が2割となる所得基準(少なくとも合計所得金額160万円以上220万円未満)を見直し、2割負担の対象範囲を拡大する予定だった。
ただ、昨年10月に一定以上の所得がある75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担を引き上げたばかりだった。しかも、介護は一般的に医療サービスを受けるよりも利用期間が長期に及ぶため、負担が増せば影響もその分大きくなる。
議論が行われた社会保障審議会介護保険部会で、「認知症の人と家族の会」副代表理事の花俣ふみ代委員らは「医療も介護も負担増が重なれば、サービスの利用を控え、体調悪化につながりかねない」との懸念を最後まで拭えなかった。
中略
■年金…納付期間延長に反発も
公的年金制度については昨年、パート従業員ら短時間労働者の厚生年金への加入条件を緩和し、「勤務先の企業規模」を問わないことが決まった。保険料を支払う人を増やすことで年金財政の基盤強化を図る。ただ、政府は制度の持続性を高めるための負担増につながる議論には深入りしなかった。
国民年金(基礎年金)の保険料納付期間を現行の40年(20歳以上60歳未満)から45年に延長する議論が年をまたぎ今年も続けられる。納付期間延長は、少子高齢化の影響で将来受け取る年金水準が下がりすぎないようにするためだが、5年で新たな保険料負担が100万円程度になるとみられ、反発も予想される。
年金額は物価や賃金の変動に応じて毎年度改定される。来年度分は月内に公表される予定だ。年金額自体は引き上げられるが、物価上昇分ほどには伸びず、実質的には目減りすると予想されている。
■医療…現役世代配慮も抑制効果は疑問
医療分野では昨年、75歳以上の中・高所得者の後期高齢者の医療保険料引き上げが決まり、政府は今月召集される通常国会に関連法改正案を提出する。高齢者医療費の半分弱を賄う現役世代の負担増を抑え、子育て世代の「出産育児一時金」を増やす財源にも回す。
75歳以上向けの後期高齢者医療制度には現在約1890万人が入る。うち約4割の人の保険料が増える。ただ、経済団体のある幹部は「膨張し続ける医療費全体を考えれば対症療法でしかない。どれだけ現役世代の負担抑制に効果があるかは疑問だ」と語る。
政府は患者に身近な「かかりつけ医」の法制化も図る。こちらも通常国会に関連法案を提出し、令和6年度から制度を開始したい考えだ。
新型コロナウイルスの感染拡大時に発熱患者が病院側に受診を拒まれた反省から、制度化が図られた。具体的には、@日常的な疾患への幅広い対応A休日や夜間の相談・往診B在宅医療C介護サービスとの連携―などの役割が期待される。
自民党厚労族議員の一人は「どこまで地域医療の底上げに責任を持ち、実効性のある制度にできるかが国会論戦の鍵だ」と語る。
「団塊の世代」は2025(令和7)年までに全員が75歳以上の後期高齢者になる。高齢化が進めば、複数の基礎疾患を抱える患者が増えると予想される。それだけ医療費の増加は避けられそうにない。(村上智博)