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「視聴者の信頼が大事」と言ってたけれど…(稲葉延雄氏、NHK次期会長会見で=代表撮影)

 4月から正当な理由もなく期限内に受信契約に応じない人に対し、NHKが「割増金」を課す制度を導入することになった。NHKは昨年12月に規約変更を申請し、総務省が今月18日付で認めた。

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 規約変更により、従来「遅滞なく」としていた受信契約の申込期限が「テレビ設置から翌々月の末日まで」に。問題はこの期限を過ぎた場合の割増金の水準でナント、支払うべき受信料の「2倍」。実際には通常の受信料に割増金を上乗せし、計3倍の額が請求される。

「現在、NHKの受信料は地上波とBSがセットの『衛星契約』で月額2170円(口座振替・クレジット払い)。支払いは最低2カ月単位なので契約に応じないと、いきなり1万3020円を請求されてしまう」(放送業界関係者)

 耳をそろえて納めなければ3倍の「罰金」を払えーー。NHKの「N」は、いつから「ナニワ金融道」の頭文字になったのか。案の定、SNSは《まるで脅迫だよね。これが公共放送のやり方なの?》《それほど困っていないだろNHK》などと大荒れだ。

 政府も「視聴者の公平負担の徹底を促進する」(松野官房長官)とNHKの肩を持つが、受信料の推計世帯支払率は未払い訴訟などの影響もあり、2011年度末の72.5%から21年度末には79.6%までアップ。それでも目標とする80%台を下回るとしてペナルティーを課すのだが、NHKは明らかに儲けすぎだ。

余剰金は民放トップの放送収入1年分
 21年度決算の受信料収入約6801億円に対し、民放トップの日本テレビの放送収入は約2460億円(広告スポット+タイム)。テレビ朝日約1790億円、フジテレビ約1720億円、TBS約1660億円、テレビ東京約770億円と続く。剰余金も04年度の366億円から21年度には2231億円まで膨張。民放トップの放送収入1年分に匹敵する。

 ようやく、その6割以上を取り崩し、今年10月からの過去最大約10%の受信料値下げの原資に充てるというが、本をただせば「皆さまの受信料」。視聴者に全て還元せず、まだ800億円超もため込むこと自体が異常なのだ。元NHK政治部記者の川崎泰資氏が言う。

「今のNHKは受信料に見合うだけの番組を作っていますか。特に報道は政権側に忖度した姿勢が目立ち、罰金制度に世間が反発するのは当然。内部にいた人間からすると、とんでもない話です」

 12月には「BS1」と「BSプレミアム」を一本化。ますます「見る価値のある」番組が減れば、本末転倒である。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/317514