パチンコホールは大淘汰時代に突入か――東京商工リサーチの調査によると、2022年のパチンコホールの倒産は39件となり、過去10年間で最多を記録した。2010年の39件以来、12年ぶりの高水準となった。

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パチンコホールは大淘汰時代に突入か(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 20年以降、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国のパチンコホールが休業を余儀なくされた。また、22年1月末には5号機が完全撤去。射幸性の低い6号機の稼働率低迷や遊技台の入れ替え負担などで、小・零細規模のホールの体力が低下していったことも要因だという。

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パチンコホールの店舗数(東京商工リサーチ調べ)

 22年11月に、メダルなどが電子化された次世代機「スマートパチスロ(スマスロ)」が導入された。現行の規格より射幸性が高く、同業界が業況回復の“起爆剤”として大きな期待を寄せ、多くのホールが高額な遊技台やユニット、サーバーへの投資を実施した。しかし、同社の調査によれば、「年末年始の書き入れ時には売り上げが増加したものの、期待したほどの効果はなかった」との声が多く聞かれたという。

パチンコホールは第3次大淘汰時代へ
 パチンコホールの倒産は、CR機の規制が入った1997年に106件と急増。大量獲得できるパチスロなどの射幸性が問題となった01年も105件に達し、第1次淘汰時代を迎えた。その後パチスロ4号機の撤去が始まると、07年の倒産は144件に急増し、第2次淘汰時代に突入した。

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パチンコホールの倒産 年次推移(東京商工リサーチ調べ)

 遊技人口の減少や6号機の入れ替え、人手不足や光熱費などの運営コストは増加の一途をたどっており、パチンコホールの収益は厳しさを増している。大手ホールは、セルフ式カウンターやドル箱を積まない計数機でコスト削減を進める一方、小・零細規模のホールは広告費削減や中古台の利用などにとどまり、ホール運営の効率化の効果は広がりつつある。

 4月は、スマートパチンコ(スマパチ)が登場するが、どれほどの盛り上がりを見せるかは未知数だ。東京商工リサーチは、「資金力の乏しいパチンコホールの脱落がこれから本格化するとみられる。その後には、生き残った資金力のあるホール同士の熾烈な競争による第3次淘汰時代が始まりそうだ」と分析している。

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