https://www.cnn.co.jp/storage/2023/01/25/d59cf9bf326002aa888429f489638415/t/768/432/d/ukraine-bakhmut-super-169.jpg
バフムート近郊の前線でロシア軍の陣地に向け迫撃砲を発射するウクライナ軍の兵士/Evgeniy Maloletka/AP

ワシントン(CNN) 米国と西側諸国の当局者らはウクライナに対し、戦闘の焦点を数カ月にわたって激戦が続く東部の要衝バフムートから移し、南部での攻勢を優先させるよう強く求めている。その際戦術も変更し、最近西側の同盟国が供与を約束した新たな軍事装備の利点を活用するべきだとした。米国とウクライナの複数の当局者がCNNに明らかにした。

過去6カ月近く、ウクライナ軍はロシア軍と対峙(たいじ)し、バフムート内の領土で一進一退の攻防を繰り広げている。分離主義勢力が制圧するドネツクとルハンスクの間に位置する同市は激しい砲撃に遭い、ほぼ破壊し尽くされた状態にある。

西側の情報機関の高官は先週、バフムートについて、インフラの破壊により軍事的な魅力は低下したと述べていた。

春にかけて激しい戦闘が見込まれる現在、戦術面での好機が訪れていると米国並びに西側諸国の当局者らは指摘する。この数週間で彼らはウクライナ軍への説得を開始。同軍にとって戦略的重要性が低いとするバフムートでの損失を断ち切り、南部での攻勢計画の策定に注力するよう促した。

そうした内容は、先週首都キーウ(キエフ)を訪問したバイデン政権の高官3人の伝えたメッセージにも含まれていたという。

ウクライナのゼレンスキー大統領と会談した米国のファイナー大統領副補佐官、シャーマン国務副長官、カール政策担当国防次官は、ウクライナによる戦術変更を支援したいと提言。バフムートでのある種の消耗戦から離れ、機甲化した機動作戦による戦闘形態に照準を合わせる考えを示唆した。後者の戦術はロシアに対する迅速かつ予測困難な動きの活用を意味する。当該の会談内容に詳しい複数の情報筋が明らかにした。

米国と欧州諸国は最近、英国の戦車14台を含む数百台の装甲車両をウクライナに供与したが、これは上記の戦術変更を念頭に置いたものだと当局者らは指摘した。

しかし、ゼレンスキー氏にバフムートを捨てる用意があるかどうかは不明だ。

同氏の思考に精通する人々がCNNの取材に答えたところによると、ゼレンスキー氏本人はバフムートにおけるロシアの勝利が既成事実だとは信じておらず、依然として撤退するつもりはない。バフムートで持ちこたえればドンバス州全域を奪還するチャンスが広がるというのが同氏の考えであり、もしロシアが勝利すれば同軍にさらなる前進の機会を与え、戦術的に重要なスロビャンスクやクラマトルスクといった東部の町へも迫ってくるとみている。

バフムートはまた、抵抗するウクライナ軍の重要なシンボルともなっている。

米軍当局者の1人は、ウクライナ軍がバフムートを捨てるかどうか疑わしいとの見方を表明。戦場としての価値ではなく、戦略的なメッセージ発信の点で同市の意義が極めて重要なためだとした。

https://www.cnn.co.jp/usa/35199060.html