いわゆる「元徴用工」訴訟問題をめぐり、日韓両政府は1月30日、ソウルで外務省局長協議を行った。韓国政府は、日本企業の「賠償」支払いを、韓国の財団に肩代わりさせる案を軸に検討し、2月中の解決案公表を視野に最終調整を進めている。日本政府は韓国を輸出管理で優遇する対象国に再指定し、対韓輸出管理を緩和する方向で検討しているとも報じられている。

元徴用工というが、今回の原告4人はいずれも「募集」に応じた人なので、「応募工」が正確だろう。いずれにしても、その人たちへの補償について、韓国政府も1965年の日韓請求権協定で「解決済み」としてきた。しかし、韓国大法院(最高裁)は個人の請求権は消滅していないとし、日本企業に賠償を命じた。

これに対し、日本政府は、本件について65年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決しているとした。今般の判決は国際法に照らしてあり得ない判断なので、日本政府としては毅然(きぜん)と対応するとした。

つまり、韓国大法院の判決は純粋に韓国の国内問題であり、その解決は韓国政府が行うべきものだ。これが「解決済み」という意味だ。

安倍・菅政権での毅然とした対応を岸田政権が無にしようとしているのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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