0001きつねうどん ★
2023/02/06(月) 07:36:22.49ID:vErxo2O2ドアの開閉を妨害(出典=全障連のFacebook)
障害者支援の促進や、皆が住みよい環境づくりの意識が、ひろく世間に浸透すべきものであることは言うまでもない。だが、それを求めるあまりの活動がゆきすぎると、また別の問題が生じてしまうようだ。お隣の韓国で、いま、ある団体の活動が社会問題化している。在韓ジャーナリストのノ・ミンハ氏がレポートする。
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1月中旬、久しぶりにソウルを訪ねた日本人の知人が、こんな連絡をくれた。
「地下鉄4号線に乗って三角地(サムガクチ)駅で乗り換えようとすると、車椅子に乗った数人の人たちが、電車とホームの間に車椅子を入れてドアが閉まらないようにしてなにやら大声で叫んでいたんです。電車が発車できなくなって……あれはなんなんですか」
ぴんときた。最近ソウルの地下鉄では全国障害者差別撤廃連帯、通称「全障連(チョンジャンヨン)」という団体が頻繁に行っている抗議活動だ。彼らはラッシュアワーにあたる午前8時から9時頃にかけて、ソウル市の地下鉄、とくに地下鉄4号線の駅に現れる。
知人がいうように、その抗議活動によって電車の発車が30分から1時間遅れることもあり、その間、多くの乗客は電車内に閉じ込められたままだ。警察も事前に多数の警察官を配置し対応にあたっているものの、警察官や地下鉄職員が手を噛まれたり、電動車椅子で突進されて負傷したりするといった事故まで発生しているのだ。
ソウル市民に迷惑をかけていることに対し、全障連は「申し訳ない」としているが、抗議行動はつづけている。
地下鉄に抗議のステッカーがぎっしりと…
全障連は2007年に設立され、障害者の人権改善などを求め過激なデモを行ってきた。地下鉄の運行妨害を本格化させたのは2021年からだ。
彼らはまず「障害者の地下鉄駅内での移動権を保障せよ」と主張。ソウル市のすべての地下鉄の駅にエレベーターを設置するよう要求した。これに対し、裁判所はソウル内の地下鉄駅のうちエレベーターのない19駅に、2024年までに設置するよう通達した。ところがその後も要求はエスカレート。2021年11月には、障害者福祉予算を6,224億ウォン(約659億5,460万円)まで増やすよう主張した。さらに昨年、尹錫悅(ユン・ソンニョル)大統領が当選すると、障害者施設予算807億ウォン(約85億5,163円)、福祉予算2兆9,000億ウォン(約3,073億円)を追加要求した。
この要求を政府は受け入れなかった。すると、地下鉄の運行妨害を毎週のように行い、地下鉄駅の随所に予算増額を要求する内容のステッカーをぎっしりと貼った。現在、大統領執務室の最寄りである地下鉄4号線の三角地駅、若者がよく行く地下鉄4号線恵化(へファ)駅には、あちこちにステッカーが貼られている。運行妨害もこの2つの駅で起きることが多い。
ソウル市民、政治家からも非難の声が
全障連の抗議行動には「限度を超えている」という声がある。エレベーターがない駅でも、駅員にいえば、入口から改札口、そして電車に乗るまでの障害者移動案内サービスが受けられる。ゆえに多くの市民は「すでに十分な移動権がある」という感覚で、彼らの主張に納得できないと話す人が多いのだ。
彼らを非難する論調のメディアも増えており、政治家も問題視している。与党「国民の力」の次期代表として有力な国会議員、金起炫(キム・ギヒョン)氏は最近、全障連に対し「限度を越えた」「自身の権利を守るために他人の権利を侵害してはならない」との非難を表明した。同じ「国民の力」の呉世勳(オ・セフン)ソウル市長も「不法行為にこれ以上、寛容ではいられない。さまざまな法的措置を講じる」と警告した。
他の障害者団体も、「全障害者の0.1%にすぎない全障連が、障害を持つ人への嫌悪を増大させている」と発言している。