【ワシントン=田島大志、淵上隆悠】米北方軍のグレン・バンハーク司令官は6日、米領空に侵入した中国の偵察用気球の全長が約60メートルに及び、重さは1トン超に上るとの見方を記者団に示した。撃墜後の残骸は米東海岸の沖合1・5平方キロ・メートルの範囲に散乱しており、米軍が回収や分析を急いでいる。

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米モンタナ州の上空に浮かぶ気球(1日)=AP

 バンハーク氏らによると、気球の積載物は小型ジェット機程度の大きさだったという。海に散らばった残骸を艦艇や無人潜水艇などで回収しており、米軍は連邦捜査局(FBI)とともに分析を進める。

 米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は6日、分析によって気球の能力や中国側の意図が明らかになるとの見通しを記者団に示し、「中国に返却する予定はない」と述べた。カービー氏は、気球にはプロペラやかじが装着され、速度や方向を変えられたと説明した。ただ、飛行していた高度では風が強く、「操縦性は限定的だった」と指摘した。

 一方、トランプ前政権時代に中国の偵察用気球が米上空を3回飛行していたことについて、バンハーク氏は米軍が当時検知できなかったと明らかにし、「領域認識に隔たりがあった」と落ち度を認めた。情報機関が事後的に飛来を確認したという。

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