もはや「戦後」ではない
日本初のテレビ本放送は、1953(昭和28)年2月1日、東京・内幸町にあったNHK放送会館で始まった。70年前のことである。ちなみに、日本テレビも同年8月28日に開局しており、1955年4月1日のTBSなど民放各社が続いた。

これは、1945年に終戦となり焼け野原となった日本を何とか復興しようと懸命に頑張っていた日本人にとって、朗報であったといえよう。

まだ、各家庭にテレビ受像機が普及していなかった時代には、Pen 2021年8月5日「1964年、街頭テレビはこんなに小さかった! 身近なモノのサイズを考える」のような街頭テレビに黒山の人だかりができていた。

この記事の写真を見ると驚かされるが、当時の画質の悪いテレビで、本当に後ろの方の人が見えていたのかと思わず疑ってしまう。プロレス、ボクシング、大相撲の中継にはたくさんの人が集まったそうだが、1964年の東京オリンピックの時もすごかった。

このような時代、国民にとって「テレビ」がとても重要な存在であったことは疑いが無い。例えば、紅白歌合戦の最高視聴率は81.4%(1963年・第14回)である。まさに国民的テレビ番組と呼んでもよい状態であった。(ただし、民放もNHKとほぼ同時期に歩みを進めている。NHKだけが重要であったわけではない)。

しかし現在は、情報を得る手段が、新聞・ラジオ・(地上波)テレビなどのオールドメディアしか無かった当時と比べて、ケーブルテレビ、Netflixやユーチューブ等の動画配信、さらには「ネットメディア」などが乱立し情報過多といえよう。

「強制徴収する受信料制度」に基づく「公共テレビ」など今や「過去の遺物」だと言ってよい。「電波を押し売りする組織」を維持する必要が一体どこにあるというのだろうか。

最後の項で述べるが、本家ともいえるBBC(1936年に世界で初めてのテレビ放送を行った)も「強制受信料制度」の問題点を改革する動きを始めているのだ。

NHKを観ているのは一部の人だ
テレビ放送開始当時は重要な国民の情報源であったが、現在は多チャンネル、ネットの時代だ。NHKのテレビ放送に「公共性」など無いと言える。ちなみに2021年・第72回の紅白歌合戦の視聴率は最低の34.3%である(2022年は35.3%)。

ちなみに朝ドラの平均視聴率も1983年の「おしん」の52.6%を最後に右肩下がりで、2022年の「ちむどんどん+舞い上がれ!」は15.8%と悲惨だ(社会実情データ図解、NHK朝の連続テレビ小説年度別平均視聴率の推移)。

ついでに同「NHKドラマの平均視聴率推移」では、1987年の「独眼竜政宗(渡辺謙)」39.7%および1988年の「武田信玄(中井貴一)」39.2%以降下げ、2019年の「いだてん(中村勘九郎/阿部サダヲ)」で最低の8.2%を付けた後、「鎌倉殿の13人(小栗旬)」は12.7%である。

つづき
https://gendai.media/articles/-/105786