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2023/02/24(金) 19:45:18.55ID:pJEeQNx3https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20230224-00337909
ウクライナ侵攻の開始から1年。日ロの緊張はエスカレートしている。日本政府は対ロシア制裁に参加する一方、ウクライナに780億円を融資するなど、これまでにない積極的な姿勢を見せている。日本は今後、どのように関わるのか。そして日本が侵攻される可能性はあるのだろうか。
日本周辺での軍事的緊張
日本で周辺での軍事的緊張が高まっている。これまでにすでにロシアは力を誇示し、日本に威嚇するアクションをみせている。
昨年6月、ロシア軍機4機が北海道西部で日本の領空に接近し、自衛隊機がスクランブル(緊急発進)した直後にコースを変更した。翌7月には、ロシア艦隊が中国海軍の艦船とともに尖閣諸島近海を通過した。
防衛省によると、こうしたロシア軍や中国軍による日本周辺での軍事行動は2022年2月24日以降、それ以前と比べて2.5倍に増えたという。
さらに、年末にロシア軍は北方領土の千島列島にミサイル防衛システムを配備した。
北方領土に配備されたのと同型のロシア製地対空ミサイルK-300Pバスチオン(2017.7.30)(写真:ロイター/アフロ)
古典的な戦争イメージそのままのウクライナ侵攻だけでなく、日本周辺での軍事行動がさらに危機感を募らせたことは不思議でない。
この背景のもと、岸田政権は2023年度から5年間の防衛予算の総額を現状の1.6倍に当たる約43兆円にまで増やしただけでなく、これまで議論が進められてきた敵基地攻撃を可能にする、いわゆるスタンド・オフ・ミサイル配備にも踏み切った。
こうした反応に対して、ロシア政府は「これまでの平和主義を捨てて歯止めのない軍国化に踏み切った」「日本がアジア・太平洋の緊張を高めている」と主張している。ウクライナをめぐる対立が長期化すれば、日本周辺での緊張がさらに高まる可能性は高い。
これまでにない積極的関与
日本政府は昨年2月24日以降、アメリカなど欧米各国とともに天然ガス取引の制限、ロシア政府およびベラルーシ政府の責任者らの資産凍結、金融取引の規制といった制裁に参加する一方、ウクライナに対しては融資780億円を含む資金協力、発電機の供与をはじめとする越冬支援、難民受け入れなどの民生分野の協力を提供してきた。
対ロシア追加制裁について発表する岸田首相(2022.4.8)(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
従来、日本政府は「内政不干渉」を重視し、紛争や人道危機、民主化など外国の政治問題に深く関わることを避けてきた。2014年のクリミア危機ではアメリカ主導の制裁に参加したものの、当時の安倍政権は北方領土問題の解決とプーチン大統領との良好な関係を重視した結果、総じて控え目の協力にとどまった。
これと比べて、今回の取り組みはかなり積極的といえる。岸田政権のこの方針を慶應義塾大学の鶴岡路人准教授は、以下の4点から説明する。
・侵攻に対する幅広い拒絶反応
・ウクライナ侵攻が中国による台湾侵攻を誘発することへの懸念
・安倍元首相との差別化を図る目的
・制裁を支持する国内世論
いずれも概ね支持できるものだ。
「第三次世界大戦の回避」での一致
とはいえ、ウクライナでの戦闘に日本が直接タッチする公算は限りなく低い。憲法上の制約があるからだけではない。欧米各国もその意志を示していないからだ。
イギリスで訓練を受けるウクライナ兵(2023.2.16)(写真:ロイター/アフロ)
今年1月、ドイツが主力戦車レオパルト2の提供を決めたように、欧米各国はこれまで多くの兵器や物資を提供してきた。
しかし、どの国も戦闘部隊をウクライナに派遣してこなかった。それはいわば当然で、ロシアを刺激しすぎればかえって情勢を悪化させ、第三次世界大戦の引き金を引くことになるからだ。
逆にプーチン政権は「欧米が直接介入できないこと」を織り込み済みで侵攻に踏み切ったとみられるが、直接衝突を避けたい点で米ロは一致する。これは冷戦時代から変わらない構図だ。
こうしたデリケートな状況があるからこそ、欧米各国はロシア本土の攻撃につながる兵器をウクライナに提供してこなかった。
こうした情勢で、日本が率先して戦闘に関与することはない。
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