2023.03.10    週刊現代
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「信なくば立たず」。1年半前、総裁選に出馬した岸田はそう語った。だが今や、官邸にも自民党にも「信」などカケラも見当たらない。疑心暗鬼に陥った「芯」なき宰相に、難局を乗り切る力はない。

「官邸で、誰ひとり総理を敬っていない」
「彼はこう言ったんだよ」「それが彼の性格だから」

新聞記者とのオフレコ懇談で、同性婚カップルについて「隣に住んでいたら嫌だ」などと述べて更迭された、元首相秘書官の荒井勝喜。経産官僚らしい口の軽さで、記者たちには「困った時の荒井」と重宝されていたが、10歳上の主・岸田文雄を「彼」と呼んで憚らないことでも知られていた。

「官邸で、誰ひとり総理を敬っていないことが言葉尻からも伝わってきた」(全国紙官邸担当記者)

この国の中枢はいま、異常事態に陥っている。

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安倍晋三政権や菅義偉政権では、総理が人事権を振りかざして部下を押さえつけたり、総理の威を借り「腹心」を名乗る人物が官僚や記者を怒鳴り散らしたりして、もの言えぬ空気を作り出していた。そうした雰囲気は国民にも伝わり「独裁政権」と批判された。

岸田政権では、そのようなことはない。ただ岸田は国会でも、囲み取材でも「それについては様々な議論がありますが……」「しっかりと検討していきたい」などと繰り返して時間をやり過ごし、去っていくだけだ。

腰巾着が「総理の意向なんだから、従えよ!」などと周囲にすごむようなことも、まったくない。それは裏を返せば、官邸の官僚も自民党の政治家も、全員が総理をナメきっているからだ。

だがその一方で、岸田は曲がりなりにも、この国の最高権力者である。結果「総理が何を考えているのか、誰も知らない」「総理は単に、何も考えていないのかもしれない。だがそうだとしても、誰にもコントロールできない」という恐ろしい状況が発生しているのだ。

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