共産党を除名処分となったジャーナリストの松竹伸幸氏のインタビュー記事を掲載した長崎新聞社(長崎市)に対し、党長崎県委員会が抗議していた問題で、小池晃書記局長は13日の記者会見で抗議を撤回し、謝罪したことを明らかにした。記者会見の概要は次の通り。



「まず、私の方から長崎新聞の問題の対応について述べたい。3月9日、党長崎県委が松竹伸幸氏のインタビュー記事を長崎新聞が掲載したことについて抗議した。このことについての見解を述べたい」

「抗議という対応をとるということは党中央としての方針ではない。これまで一部のマスメディアが松竹氏の除名をめぐって事実と異なる記事を掲載した際にも、反論は行ったが、抗議といった組織的な対応はしていなかった」

「今回、長崎新聞社に対して抗議したことは明らかに行き過ぎた対応だった。本日の常任幹部会でそのことを確認し、先ほど党長崎県委は長崎新聞社に対して抗議を撤回し、謝罪をした。合わせて今回の措置に関わった関係者に対しては注意を私どもとして行った。以上だ」

--党中央の方針ではないと言っているが、赤旗に(抗議を行ったという)記事が載っている。赤旗は党中央の機関紙だ。矛盾するのではないか

「要するに、常任幹部会などで議論して決定したという経過は全くない。私自身も相談を受けていないし、もちろん(志位和夫)委員長も相談を受けていない。今回の経過については党中央の担当者、長崎県委、そしてあの記事を掲載した赤旗の編集委員会に対しても注意を行った」

--今後、何らかの記事に抗議をすることがある場合、党としてどういう対応をするのか

「私たちは『言論の自由』は断固として守るというのが党の基本的な方針だ。われわれの立場に照らして今回は行き過ぎた対応だったという話を先ほどしたわけだ。そういう立場で今後とも臨んでいきたい」

--10日の記者会見で田村智子政策委員長が今回の問題について、党本部の関与を否定した。いつもだったら会見の動画がアップされるのだが、今回はアップされていない

「それは別に、なんか党でアップしないとか決めたわけではなくて、本人の意向なんかも含めて対応しているのだと思う。田村さんも知らなかった。記者会見で突然、聞かれたという経過があったので…。私は、田村さんは率直に正確な話をしたと思うが、突然、聞かれたということもあって、田村さんの判断でアップしなかったのかもしれない。ちょっとその事情は存じないが、そういうことだと思う」

「田村さんの記者会見の中身を私も全部見させていただいた。問題はなかったと思う。彼女は率直に党本部として関与した話ではないというような話をしていたと思うが、それは事実だ。記者会見に特に問題があったとは思っていない。そういう議論も党内ではない。きちんと対応されたと思う」

--注意はいつ、誰に行ったのか

「今日の常任幹部会で、今、私が申し上げたことを確認したので、直ちに執行した。注意した対象は党本部の担当者、党長崎県委、そして、赤旗は別に『抗議しろ』と言ったわけじゃないが、それを掲載したということについて赤旗の編集委員会にも注意をした。これからの教訓にしたいと思っている」

--今後、松竹氏を扱った記事にはどういった対応で臨むのか

「今までも批判とか、反論の記事を載せている。それは政党として当然の権利として、事実と違うということがあればきちんと反論は今後もしていきたい。ただ、抗議をするという組織的な対応は、この問題についてふさわしくない、適切ではないと思うので、今回こういう措置をとった」

https://www.sankei.com/article/20230313-U2PYQDOPYFPWLP5KNDG67WZW2A/