3/19(日) 17:31   Merkmal
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EVが普及しにくい日本の現実
EVの給電ステーション不足が原因?(画像:写真AC)

 2020年12月、日本政府が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」として策定した内容のひとつに、「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」という目標設定がある。国が本格的にEV普及へのかじ取りを進めたということで、自動車業界への影響は計り知れないだろう。

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 公的補助金の助けもあってEVが主流となっていくのかとも思われるが、日本自動車販売協会連合会の調べによると、2022年におけるEVの販売台数は、いまだ乗用車全体の1.4%にとどまっている。

 2020年の時点では全体の0.6%だったことから、販売台数は増加してはいるものの、その足並みは思いのほか遅いようだ。依然としてガソリン車は全体の42.3%と大部分を占めており、EVの普及はあまり進んでいないことがうかがえる。

 一因として「充電スタンドの少なさ」がたびたび挙げられるが、年々増加傾向にあった充電スタンドは2021年度、初めて減少する事態に。維持費が高く、採算が取れなければ老朽化に伴い撤去せざるを得ない。結果的にEVの普及はますます遠のいてしまうという悪循環に陥っているのだ。

東大による「新システム」とは何か
タイヤ内需給システムの実験車両(画像:東京大学大学院サイト)

 EVの普及に課題を抱えるなか、東京大学大学院は2023年1月、複数の企業との連係により「EV走行中に給電する技術」の共同開発に成功。タイヤ内に電力を給電し、さらに車体へと給電する「タイヤ内給電システム」を開発したと発表した。

 同開発は、同大学院・新領域創成科学研究科の教授を中心に、デンソー、日本精工、ブリヂストン、ロームが参加した「SDGsを実現するモビリティ技術のオープンイノベーション社会連携講座」によるものという。

 2023年2月に行われた、自動車技術会電気動力技術部門委員会が主催するシンポジウムでも発表され、期待を集めている。

 そもそも、EVの走行には当然電力が必要であり、航続距離を延ばすためにより多くのバッテリーを搭載しなければならない。

 しかしバッテリーが重くなれば、その分車を動かすために大きなエネルギーが必要になってしまう。おまけに大容量バッテリーの製造過程で「温室効果ガス」が排出される点や、バッテリー大量使用による車体価格の高騰につながる点も課題となっていた。

 しかし今回東大の発表した新システムは、上記で説明した「バッテリーにありがちなジレンマ」から解放される画期的な開発と言えるだろう。

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