0001きつねうどん ★
2023/03/22(水) 12:08:45.74ID:5meR5eKD江戸時代の1707年(宝永4年)の「宝永の噴火」です。この噴火を最後に300年以上噴火が確認されていません。
山梨県富士山科学研究所 本多亮 主任研究員:
300年前の噴火の前後にどのような変化が起きていたのか科学的な観測がされていないため、次の噴火の直前の兆候を捉える必要があるんです。
こう語るのは、山梨県の富士山科学研究所で測地学を専門に研究を行っている本多亮主任研究員です。
富士山は最後に噴火した300年前より以前の過去5、6000年間は平均して30年に1回噴火していたことが分かっています。このため火山学的には富士山は「そのうち」噴火するだろうというのが研究者の共通認識なのです。
ただ、「そのうち」というのが遠いのか近いのか、地中の変化から噴火するまでにどれだけの時間の猶予があるのか…
本多さんは「火山の状態をちゃんと見るためには、地面の下が日々年々どう変化しているかを追いかける必要がある」と言います。
噴火の兆候のない富士山の❝平時の状態❞を知っておくために、これまでに富士山には100近い観測機器が設けられて山体膨張や地中の振動などを観測しています。
さらに2019年に富士山科学研究所に新たな観測機器が設置されました。
それが「相対重力計」
火山の噴火の兆候は、「山体膨張」という山が膨らむ事で捉えることができます。これは人工衛星GNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム)の宇宙からの測量で観測できます。
しかし、それだけでは、山体の変化がマグマの上昇によるものなのか、火山性ガスの噴出によるものなのか、または他の要因によるものなのかは分かりません。
一方で火山の観測では質量が大きいマグマが地表に近づくと、重力が大きくなることが分っています。山が膨らんだ場合、重力が上がればマグマが、重力に変化がなければ、軽い火山性ガスが上昇してきていると推察することができます。
この変化を観測しようというのが相対重力計です。
富士山科学研究所に設置されている相対重力計は、いわば超精密なバネ秤で地球の重力の10億分の1の変化を捉えることができ、微妙な地中のマグマの上昇が分かるそうです。
本多 主任研究員:
設置された相対重力計の観測データが加わることで、より精度の高い噴火予測が可能になり、どういう形態か、またどういうタイプの噴火なのかで、ガスが出て終わりなのか、火山灰がたくさん出そうなのか、溶岩流の速度が速そうなのかが分かる。そうすると避難の対応がしやすくなる。
最大の難敵は…
ただ、10億分の1の重力変化を捉えるということは、地表のちょっとした変化にも影響されてしまうそうです。
本多 主任研究員:
意外と思われますが、一番厄介なのは雨なんです。
雨が降ると、その地域一帯に数mmの水の膜ができたり、地中に留まることになります。その際、雨水にも質量があるため、極わずかですが、重力が大きくなるそうです。これが相対重力計にとっては地下深いマグマの変動による重力変化なのか、判断する上でデータの雑音になってしまうのです。
2019年に設置されてから2022年まではこの雨の影響の確認を丹念に続けてきました。
そして今年1月には富士山の4合目登山道の傍に2台目の重力計を設置、より精度の高い観測をすることが出来るようになりました。
研究所と4合目との標高差は約1000m。
本多 主任研究員:
これで、重力変化の要因を特定しやすい観測体制になった。この標高差のある2点で観測することにより、マグマの上昇をより正確に捉えることが出来る。上昇していた重力観測値が下がったからマグマの位置が下がったのではなく、マグマが重力計より上に上がったために観測値が下がる場合もあり、標高の違う2点で観測することにより、その違いがわかる。
300年間、静かな富士山の噴火の兆候をとらえることが出来るのか。
山梨県富士山科学研究所 本多亮 主任研究員:
ここがやっとスタートラインです。これから地道に雨と戦いながら どういう重力変化があるのかをひたすら見て行くということです。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/uty/388629