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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は21日、イギリスがウクライナに劣化ウラン弾を供与した場合、「対応せざるを得ない」と警告した。西側諸国が「核の材料」を使った武器を配備していると非難している。

イギリスは、主力戦車「チャレンジャー2」と共に、劣化ウランを使用した徹甲弾を供与すると認めている。ただし、放射能汚染のリスクは低いとしている。

英国防省は声明で、劣化ウランは「標準の材料であり、核兵器とは何の関係もない」、「イギリス軍は数十年にわたり、徹甲弾に劣化ウランを使ってきた」と説明。

「ロシアはこれを知っているが、故意に誤った情報を流そうとしている。王立協会を含む科学者グループによる独立した調査で、劣化ウラン弾の使用による人体や環境への影響は低い可能性が指摘されている」と述べた。

鉛の1.7倍の重さ
化学兵器の専門家で、イギリス軍で戦車隊長を務めていたヘイミッシュ・ド・ブレトン=ゴードン大佐は、プーチン氏の発言は「典型的な偽情報だ」と指摘した。

同大佐によると、チャレンジャー2で使用される徹甲弾に含まれている劣化ウランはほんのわずかだという。

その上で、濃縮ウランを使う核兵器と劣化ウラン弾を関連付けるのは「ばかげている」と述べた。

劣化ウランとは、核燃料の生成や軍事目的でウランを濃縮した際の残りを指す。

わずかに放射性がある固形物だが、鉛の1.7倍の重さがあるため、装甲や鋼鉄を貫く目的で弾丸に利用される。

劣化ウランで作られた弾丸が戦車の側面など硬いものに命中すると、貫通する際に蒸気が噴出する。この蒸気はちりになるが、このちりは有毒で、微弱ながら放射性がある。

国連は劣化ウラン弾に懸念
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ウクライナに劣化ウラン弾を供与することで、イギリスは「1999年のユーゴスラビアのように国際人道法に違反する用意がある」と批判した。

「この件がイギリス政府に悪い結果になることは間違いない」と、ラブロフ氏は付け加えた。

アメリカ国防総省の報道官は21日、同国はウクライナに劣化ウラン弾を供与しないと表明している。

劣化ウラン弾はイラクやバルカン半島などで使われた過去があり、先天性疾患につながったとの主張も出ている。

国連環境プログラム(UNEP)も、2022年に発表した報告書で、ウクライナでの劣化ウラン弾使用に懸念を示している。

報告書の中でUNEPは、「劣化ウランや一般的な火薬に含まれる有害物質は、皮膚刺激や腎不全を引き起こし、がんのリスクを高める可能性がある」と指摘。「劣化ウランの化学的毒性は、その放射能による影響の可能性よりも重大な問題と考えられている」とした。

(英語記事 UK defends uranium shells after Putin warning)

https://www.bbc.com/japanese/65034724