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2023/03/24(金) 21:34:06.37ID:83OEXY9Bアフガニスタン紛争で北部同盟によって使われたT-54戦車(2001年11月) Yannis Behrakis-Reuters
<ウクライナで戦争が始まってから、1871台のロシアの戦車が破壊、損傷、放棄、または捕獲されているという>
ロシア国内を輸送中とされるソビエト連邦時代の古い戦車の映像がネット上に投稿され、話題となっている。ウクライナの戦場でロシア軍が被った被害は、こんな旧式の戦車を持ち出さなければならないほど深刻な戦車不足をもたらしたのか、というのだ。
オープンソースの調査報道団体「コンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)」は、戦場におけるロシアの装備の損失は非常に大きく、不足分を補うため、70年前の装甲車を使おうとしている、と報告している。
ジョージアの首都トビリシに拠点を置くCITは、撮影日不明の動画を公開し、ソ連時代の戦車T-54とT-55が、ロシア極東の沿岸地方にあるアルセーニエフから列車で西に運ばれていると説明した。T-54は1946年、ヨシフ・スターリン政権下で生産が開始され、1950年代が終わるころ、ソ連軍機甲部隊の主力となった戦車だ。
ソーシャルメディアでは、この動画が意味することや、これらの戦車が前線で使われるかどうかについて臆測が飛び交っている。欧州外交評議会(ECFR)の共同議長カール・ビルトは、これらの戦車の派遣は、「戦争をいつまでも続けるというロシアの決意」とともに、ロシアの最新兵器がいかに「枯渇している」かを示しているとツイートした。
「次は何だ? T-34? それとも馬?」
デニス・ダビドフという人物はツイッターで、1980年代に退役したはずが2022年秋にウクライナ戦に投入されて話題になった「T-62」のことを引き合いに出しながら、「T-62でさえ、T-54に比べれば超現代的だ...次は何だ? T-34? それとも、馬か?」と書いている。T-34は、第2次世界大戦で使われたソ連の戦車だ。
また別のユーザーは、ウクライナに提供されている欧米の最新兵器と、ソ連時代の在庫の違いを強調。「(ドイツの戦車)レオパルト1や、(フランスの装甲車)AMX-10RCが、T-55やT-62と戦う。いったい今は何年なんだ?」
一方、「ロシアの勝利は必然(Russia Victory is Inevitable)」というアカウント名のユーザーは、ロシアには100ミリ砲弾の膨大な備蓄があるため、「(旧型戦車でも)ほこりをかぶらせておくくらいであれば、有効活用するのは当然だ」と述べている。
このユーザーは、T-54とT-55は、戦闘ではなく、戦闘部隊の砲撃支援、検問所の警備、敵の攻撃を引き付けるおとりとして使われるのではないかと述べている。「それでもウクライナの人々は、『ロシアにはもう戦車がない』と大騒ぎするんだろう」と、このユーザーは補足する。
T-54/55を修理するための部品は豊富で安価
軍事情勢に関する公開情報を分析するオランダ拠点の「オリックス」によれば、ウクライナで戦争が始まってから、1871台のロシアの戦車が破壊、損傷、放棄、または捕獲されているという。
バルト海安全保障財団の上級防衛専門家グレン・グランドは本誌の取材に対し、たとえ古い戦車であっても、ロシア軍にとっては有用だと述べている。「建物が密集した地域にいる場合、大きな砲を持つ戦車は破壊しておく必要がある。その砲弾を受ければ、建物の壁は破壊されてしまう」
「こうした戦車が大量に投入されたり、10台や15台のグループを組まれたりした場合、対抗手段を持たなければならない」。ただし、これらの戦車に乗る兵士は「簡単に殺されるだろう。なぜなら装甲が不十分な戦車だからだ。それでも、重火器であることに変わりない」と、グラントは言い添えた。
米国のシンクタンク、戦争研究所(ISW)は3月22日、ロシア軍は装甲車の不足を解消するため、ソ連時代の戦車に頼ろうとしている可能性があると指摘した。「なぜなら、T-54/55を修理するための部品は豊富にあり、ほかの戦車の部品よりかなり安いためだ」
ISWによれば、T-54/55には現代的な装備を搭載できないという。「ロシア軍は、これらの古い戦車をウクライナに投入することで、より多くの犠牲者を出す可能性が高い」
(翻訳:ガリレオ)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/03/-1940.php