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在日本朝鮮人大阪人権協会などがMBSラジオに提出した抗議・要請書=大阪市北区で2023年3月24日、谷口豪撮影

 MBSラジオ(大阪市)の生放送番組で、経済評論家の上念司氏が朝鮮学校について「スパイ養成的なところもあった」と発言した問題で、在日本朝鮮人大阪人権協会と同社幹部が24日に面会した。発言は「ヘイトスピーチにはあたらない」とした社の見解は変わらず、協会側は月内にも放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てをする方針。

 同協会の文時弘事務局長らは24日、MBSラジオの有貞直明コンテンツデザイン局長らと面会。「いかなるヘイトも容認しない」という会社の立場を明確にし、再発防止を求める抗議・要請書を提出した。書面では、発言が朝鮮学校の保護者や生徒らの日常に恐怖をもたらしていることに、想像力を働かせるよう訴えた。

 文事務局長によると、話し合いは約2時間に及んだ。有貞局長らは「誤解を与えたことは申し訳ない」などと述べたが「ヘイトスピーチにはあたらない」との見解は撤回しなかった。終了後に文事務局長は「BPOに申し立てをせざるを得ない。上念氏が降板しても問題が終わったとは思っていない」と話した。

 MBSラジオは23日深夜、番組のツイッターで上念氏の降板を発表。理由について、上念氏と社の間で今後の情報発信について考え方に開きがあることが分かったと説明した。

 発言があったのは、情報ワイド番組「上泉雄一のええなぁ!」の2月21日の放送。上念氏は北朝鮮のミサイル問題を取り上げ、朝鮮学校に言及した際に「スパイ養成的なところもあった」と発言した。その前には「子どもを巻き込むんですよ。独裁者を礼賛する教育をやって」などと持論を展開した。

 在日本朝鮮人人権協会(東京都)の傘下にある関西3団体は3月3日付で質問状を送付。同社は10日以降に、インターネットで配信していた番組から当該部分を削除するなどの対応をした。しかし、17日の定例記者会見で、有貞局長が「配慮に欠ける表現があったが、ヘイトスピーチには当たらない」と釈明。前後の発言については「ある程度は事実に即している」と擁護した。【谷口豪、倉田陶子】

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