2023年3月30日 20時21分   NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230330/k10014024091000.html

「お互い消耗するのはやめましょう」

関西電力と中国電力、中部電力、九州電力。それぞれ幹部との間で会合がもたれ、お互いの営業エリアには立ち入らないことに。

地域を代表する電力会社が、電気料金の引き下げを狙った「電力小売りの自由化」の趣旨を“骨抜き”にしていた実態が明らかになりました。

公正取引委員会が命じた課徴金は1000億円。背景には何があるのでしょうか。

きっかけは関電の“越境”営業
電力小売りが全面自由化された2016年。

当初は、大手電力会社どうしでの競争は起きていませんでした。

公正取引委員会の調査によると、きっかけとなったのは2017年末に関西電力が他社の管内に進出して本格的な営業活動を始めたことでした。
新電力として参入した大手ガス会社と近畿地方で価格競争を行っていた関西電力が、新たな市場を求めて中部電力、中国電力、九州電力の管内に次々と進出し、各地で営業攻勢をかけたのです。
こうした関西電力の動きに、中国電力、中部電力、九州電力が反応し、各社は課長級、部長級の営業担当者だけでなく、役員もそれぞれ関西電力側と会合を持って、互いの利益を最大化する方法を探ることになったということです。

「お互い消耗するのはやめましょう」
「価格戦についてはいかに脱するか」
「入札において値段を上げていく」

会合ではこうした会話が交わされたといい、たどり着いた結論が、互いの営業エリアでの“不可侵協定”でした。
選んだのは”競争”ではなく“不可侵”
大手電力会社どうしが申し合わせたのが、大規模な工場やオフィスビル向けの「特別高圧」や中小規模の工場や事業所向けの「高圧」の電力をめぐり、自由化以前に各社が電力供給を担当していた地域、いわば「縄張り」を超えて顧客の獲得を行わないことでした。
専門家によると他社の管内で営業をかける際、大手電力会社でもその地域では“新参者”になるため、価格を下げて消費者に訴求する必要があります。

そこで価格競争が発生するため、それを避けて利益を確保する狙いがあったとみられています。

この申し合わせは「関西電力と中部電力」「関西電力と中国電力」の間でそれぞれ行われていました。
また、官公庁への電力の供給事業者を決める公共入札では、入札に参加する事業者を「縄張り」内の電力会社に制限したり、入札時の「下限値」を高く設定したりしていました。

この申し合わせは「関西電力と中国電力」「関西電力と九州電力」の間で行われていました。


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