4/1(土) 13:10   telling,
 https://news.yahoo.co.jp/articles/38a1be9e923d7c39577df387d244c8c4d21f5c80

 性感染症である梅毒の感染者が急増しています。東京都は、2022年の都内の梅毒患者が3677人に上り、調査を開始した1999年以降で最多だったと発表。日本国内の報告数も過去最多です。梅毒に限らず、性感染症は症状を自覚しにくく、無治療のまま放置されているケースが少なくないそうです。なぜ今、感染者が急増しているのか。もし自分が性感染症かもしれないと疑ったら、どうすれば? 産婦人科の経験もあり、現在は内科を専門とする医師の山本佳奈さんに聞きました。

感染しても、気づかない場合も?
――感染者が急増している梅毒とは、どんな病気なのでしょうか。

山本佳奈さん(以下山本): 「梅毒トレポネーマ」という細菌が、性器や口などの皮膚や粘膜の、目に見えない小さな傷から侵入する感染症です。主に性行為によって感染が広がります。感染してから2〜3週間で性器などにしこりができて、治療せずに数ケ月経つと全身に発疹が出ることがある。ただし、痛みやかゆみがないことがほとんどで、治療をしなくても発疹が消えることがあるため、早期発見できないこともあるようです。

治療せずに放置していると、長期間経過することで脳や目、心臓、神経などに重大な合併症を引き起こし命を落とすこともあります。治療薬が普及していない時代は、「鼻が落ちる」といったこともあったようですが、現代の日本ではその段階まで進むことはほとんどありません。適切な薬を服用すれば、治る病気です。

検査数が増えれば、感染者数は増加する
――急増の理由について、どのようなことが考えられますか。

山本: 出会い方や性行動の変化が挙げられると考えています。米スタンフォード大学の研究者らがまとめたデータによると、アメリカの成人を対象とした2017年の調査では、カップルが出会う方法として「オンラインでの出会い」が1位に。研究チームは、13年頃にはすでに「オンラインでの出会い」が、それまで1位だった「友人の紹介」を上回っていたのではないかとみています。周りを見ていても、マッチングアプリを通じて相手を探したり、結婚したりするケースはもう珍しくないですよね。

マッチングアプリやSNSでの出会いが普及したことで、友人の延長線上では繋がれなかったコミュニティに属する人とも、気軽に交われるようになりました。不特定多数の人との性交渉が行いやすくなった、また性的ネットワークが広がった可能性も考えられます。性風俗店の場合は定期的な検査を実施している店もあるようですが、マッチングアプリやSNS上で出会った個人間ではそうした対策もできていないと考えられます。感染したと気づいても、過去に性交渉した相手になかなか連絡しようとは思えない人も多いでしょう。気づかないうちに感染が拡大していく恐れがあります。

一方で、本当に急拡大しているかについては疑問もあります。新型コロナウイルスでも明らかになったのは、検査数が増えれば、感染者数が増加するということ。コロナでPCR検査や抗原検査などが行われるようになったことで検査を受けることへの抵抗感が減ったり、性感染症についての認知度が高まったり、検査キットが普及したりなどで、検査数自体が増えたことで梅毒の報告数も増えている可能性もあります。感染がどの程度広まっているかを正確に把握するためには検査の総数に対する陽性者数の割合=陽性率が必要だと考えますが、東京都のサイトでも陽性率は一覧にはありません。

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