ウクライナに侵略を続けるロシア軍の高官は9日、露国防省系のテレビ局とのインタビューで、ウクライナ軍が大規模な反転攻勢に投入を計画する米欧製の戦車に対抗する特別部隊を設置したと明らかにした。

 露軍高官はテレビ局「ズベズダ」とのインタビューで、米欧がウクライナに供与する独製戦車「レオパルト2」や英戦車「チャレンジャー2」、米国の「M1エイブラムス」に関して、「研究が終わった。強みも弱点も知っている」と主張した。

 特別部隊は狙撃兵や携帯型の対戦車兵器を扱う砲兵、自爆型無人機を操縦する兵士らで構成されると説明した。規模や配備場所については明らかにしなかった。

 東部の侵略作戦に参加している露軍側幹部は8日、露軍がウクライナ軍の反攻に備えるため、攻勢が停滞している地域への砲弾供給の停止を決めたとSNSに投稿した。

 また、露宇宙航空軍の副司令官は10日、露国防省の機関紙「赤い星」とのインタビューで、ウクライナ軍による攻撃に対処するため、露領内やウクライナの占領地域の防空態勢の強化に取り組んでいることを明らかにした。移動式のレーダー設備を50台増設し、A50空中警戒管制機による24時間監視も実施していると強調し、ロシアが一方的に併合した東・南部4州にも防空部隊を配備したとしている。

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8日、ウクライナ東部ドネツク州バフムト近郊で、塹壕(ざんごう)に入るウクライナ兵=AFP時事

 一方、露軍が1月から攻勢を拡大した東部ドネツク州について、ロシアの著名な軍事ブロガーは8日、「露軍の攻勢の強度が明らかに低下している」と指摘した。ただ、露軍側が中心部に到達したドネツク州の要衝バフムト情勢について、ウクライナ陸軍の司令官は10日、「露軍は焦土作戦に切り替えた」として、砲撃を強めているとの見方を示した。露軍は、砲撃対象を制圧地の拡大が見込める地域に絞っている可能性がある。

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