4/11(火) 6:03   現代ビジネス
https://news.yahoo.co.jp/articles/99f35c52e7e6e664254c8b8809b61422496ac8b6

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衆議院議員・米山隆一氏は、新潟県知事を務める前の2012年から2015年にかけて、日本維新の会に所属し、衆参選挙を戦った過去がある。彼がみた「維新」の本質を、秘話とともに詳細に明かす。衝撃の手記、第7弾。
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「大阪組と和解することになった」


 4月9日、統一地方選前半戦の投開票日を迎えました。維新は奈良知事選で勝利するだけでなく、関西を中心に地方での議席を大きく伸ばしました。一体全体なぜなんだろう? と思う人も多いと思うのですが、私は、そこには、維新分裂騒動で身をもって体験した維新の「したたかさ」、さらに言うなら「恐ろしさ」があると思います。

 この結果を受けて、現在国会では共闘関係が凍結中の、私の属する立憲民主党、そして今まで維新を「利用している」つもりでいた自民党が、維新との関係をどのようにしていくのか注目されます。

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 橋下氏の理不尽な悪口雑言と、それに盲目的に従う「大阪組」の議員たちの偽りの「解党決議」「新代表選任」の嵐に晒されるなかで、2015年11月24日、維新の党(東京組)の代表選が告示され、小野次郎総務会長と松野頼久代表が届け出ました。2週間の選挙戦を経て12月6日、党員一人一票の代表選挙が行われ、投開票の結果松野代表が引き続き代表を務めることになりました。

 これで、橋下氏の維新の党の規約についてどれほど屁理屈をまくし立てようが、いくら馬場伸幸氏(現代表)が大阪で「我こそが維新の党の代表だ(但し選んだ議員はほぼ全員離党済み)!」と叫ぼうが、「現時点で正当な手続きで選ばれた代表は松野氏だ。過去の手続き的瑕疵はそもそもないが、仮にあったとしてもすべて治癒されている」と言える──私も参集した議員、支部長、党員もそう考え、みな胸をなでおろしました。

 当時、大阪組と東京組で分裂していた維新の党。その代理人弁護士として、私は、弁護士でもあり大阪組を相手に民事訴訟と政党交付金の交付についての総務省との折衝を行い、さらに刑事告訴を担当していました。

 「さあこれからだ」という静かな高揚感に包まれました。

 ところがそれが冷めやらぬ翌日12月7日、私の携帯電話に、突如東京本部の幹部の議員から電話がありました。

 訴訟についてそれ程関与していなかった幹部の議員からの電話に驚きながら出ると、幹部の議員は開口一番「米山君、大阪組と和解することになった。訴訟はすべて取り下げてくれ」と言いました。

 私は一瞬絶句しました。確かに、訴訟は敗訴のリスクはありますし、政党交付金についての総務省との折衝も解決までそれ相応の期間を要し、その間の資金繰りに苦労する事態は予想されていました。しかし、通常の常識的解釈、当りまえの行政対応なら、こちらに負ける要素はほぼないと私は思っていたからです。

 一方で、弁護士としても、維新の党の一員としても、クライアントである執行部が決めた大きな方針に異を唱えることは憚れました。

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