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 統一地方選前半戦で日本維新の会が躍進し、与野党に衝撃が広がっている。41道府県議選では自民党や立憲民主党などが改選前議席から減らしたのに対し、維新は2倍超に伸長し「独り勝ち」状態。地盤の大阪以外にも陣地を広げて後半戦や衆参5補欠選挙へ勢いづく中、他党は戦略の練り直しが不可避となっている。

 「大阪をはじめ関西圏の態勢の立て直しという課題が明らかになった。野党勢力の中で維新が優位となっている要因をよく分析したい」。10日夕、自民の茂木敏充幹事長は記者会見で維新への警戒感をあらわにした。自民は道府県議選で2015年から3回続けて過半数を確保し、幹部も「堅調な結果」と口をそろえるが、党内に安堵(あんど)感はない。

 維新の勢力拡大は関西にとどまらず、福岡や埼玉など13道県で初めて議席を得て「全国政党化」へ足場を整えた格好。自民中堅は「関西以外でこんなに勢いがあるとは」と驚きを隠せない。安全保障や憲法改正などで考え方が近い自民と維新は、保守支持層を奪い合う競合相手だ。自民幹部は「維新が弾みをつけて戦況が一変する可能性がある」と身構えた。

 公明党にとっても脅威は増している。維新が推進した大阪都構想に公明が協力するのと引き換えに、維新が衆院6小選挙区で候補擁立を見送る「すみ分け」を両党で取ってきたが、維新の馬場伸幸代表は9日夜、さらなる党勢拡大に向けて次期衆院選でのこの協力関係を「リセットする」と明言。公明は衆院小選挙区議員9人のうち6人が大阪や周辺を地盤とし「常勝関西」と位置付けて選挙に注力してきただけに、影響は計り知れない。山口那津男代表は10日、記者団に「維新がどう対応するか注視したい」と述べるにとどめた。

 野党も危機感は大きい。立民の大串博志選対委員長は「維新に勢いがあるのは事実」と率直に認めた上で、「われわれも反転攻勢の芽が出ている」と巻き返しを誓った。国民民主党の榛葉賀津也幹事長も「手応えがあるのは維新だけじゃないか。自民と共産の間に有権者のニーズがある」と維新躍進の要因を分析した。

 共産党は県議選で改選前から約2割減らし福岡や熊本などで議席を失った。小池晃書記局長は「自民党政治の閉塞(へいそく)感が(受け皿として)維新の評価につながった」との見方を示す一方、維新は保守的な色合いが強いと指摘。「自民党以上に危険。維新の本質をしっかり伝えていくことが必要だ」とけん制した。 (黒石規之、井崎圭、御厨尚陽)

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