現在、韓国で爆発的に増えつつあるのが日本への訪日客である。

私が日本に滞在しながらタクシーに乗って話を聞くと、運転手は揃って同じようなこと言う。「断然、韓国人のお客さんが増えている」と。

さらに驚いたことに、1月、2月と卒業旅行や一人旅で日本に訪れた韓国人は街中で写真を撮ってもらう際に、「韓国にいる時と変わらないほど、韓国人が周りに居て韓国人に何度も写真を撮ってもらった」という報道さえ韓国で出てきたほどだ。

これまでコロナ禍で冷え切っていた観光地にとってありがたい話ではあるだろうが、これまで韓国がしてきた「反日・不買」運動の記憶が新しいだけに、違和感を覚えながら迎え入れている日本人もいるのではないだろうか。

しかし、実際には私もこれまで何度も韓国内で日本文化がいかに受け入れられているか、ということをレポートしてきた。じつは、「反日、不買」が盛んだった文在寅政権下での韓国で日本文化を楽しむことが一番花開いたのではないかと思えるほどなのだ。

空前の「おまかせ」ブーム
そうした中、韓国でいま空前の「おまかせブーム」が来ている。去年暮れくらいからその兆しを感じていたが、簡単に訪日できるようになったことでその勢いが増している感がある。

もちろん「おまかせ」とは、一定の金額を支払って、あとはお店のおまかせでおすすめの品を提供してもらう、日本ではお馴染みのサービスのことだ。

実は韓国では文在寅政権下で反日、不買と続きコロナ禍が蔓延する中で出店ラッシュだったのが「おまかせ」の寿司屋だった。それも夜で1人単価2万円から3万円以上の店が多くオープンしていた。

そんな「おまかせ」のお店は最初ソウルの狎鴎亭(アックジョン)、清潭洞(チョンダンドン)という高級ブティックやデパートが立ち並ぶ地域に多かった。その支店がソウル市庁駅周辺にも多く出店したが、いまも予約が取りづらいほど人気だ。

また少し安めの「おまかせ」も、学生街の弘大(ホンデ)やビジネス街の宣陵駅(ソンルン駅)に5000円~10000円で食べられる店が増えた。こうやって日本の料理だけでなくシステムまで取り入れて商売繁盛になっているわけだ。

それだけではなく、いま韓国の脱サラビジネスで一番人気なのはカフェの経営だが、ここにも「おまかせ」コーヒーが登場してきたという。朝鮮日報の記事によれば、1人当たり数千円でバリスタが産地と加工方式、品種などの異なるコーヒー豆を選んで、さまざまな抽出方式で入れたコーヒーを数杯提供してくれるコースだという。聞いただけで目が「ギンギン」になりそうだ。

日韓の「絶妙なズレ」
予断になるが、私も韓国人のコーヒー好きは凄まじいと感じた出来事があった。個人事務所にミーティングで尋ねると挨拶を交わしその後、社長が中々出てこないと思ったら、なんと私をもてなすためにコーヒー豆を挽き、じっくりコーヒーを入れてくれていたのだ。

しかも、座った場所から見える社長の後ろ姿から「おいしくなぁ~れ、おいしくなぁ~れ」との声が聞こえた時には、「マジか」と思ってしまった。韓国人が大好きなそんなコーヒーにも、「おまかせコーヒー」として人気を博しているというのは“さもありなん”なのかもしれない。