4/28(金) 14:00    日刊ゲンダイデジタル
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 統一地方選では“維新の顔”として「身を切る改革」を訴えた大阪の吉村知事。2025年4月に開幕予定の「大阪・関西万博」は「身を切る」どころか、経費の水膨れが止まらない。その結果、入場料がみるみる跳ね上がっている。

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 国が2019年12月にBIE(博覧会国際事務局・パリ)に提出した「登録申請書」では、大人の入場料は44ドル(当時の1ドル=110円換算で4840円)と想定されていた。

 ところが、昨年6月、「日本国際博覧会協会」が2割高の6000円で検討していることが判明。さらに27日、物価高騰や警備強化に伴う人件費増加に対応し、8000円前後で調整していることが分かったのだ。

 日本国際博覧会協会は日刊ゲンダイの取材に「6000円や8000円といった報道に驚いている。入場料金については何も決まっておらず、いつ決まるのかも申し上げられない」(広報部)と答えた。表向き、入場料は正式決定していない、ということなのだろうが、万博の経費が膨れ上がっているのは間違いない。

上振れ要因いくつも…1万円を超えてもおかしくない?
公式キャラクター「ミャクミャク」に会うのも…(C)共同通信社

 経済ジャーナリストの井上学氏が言う。

「大人8000円で済まない可能性があります。上振れ要因がいくつもあるからです。資材価格の高騰は価格転嫁が十分ではなくまだまだ続く。また、建設業界は深刻な人手不足に陥っており、賃金を大幅に上げて、人手を集めなければならない。想定以上の工賃アップは避けられない。さらに、大阪万博は独創的なデザインにより、建設が難航し、開会式会場やテーマ館などの建設予定価格は大幅に引き上げられている。デザイン変更や突貫工事が相次げば、それも経費を膨らませます」

 さらなるコストを反映させれば、大人1万円を超えてもおかしくない。

「8000円でもそうですが、1万円を超えれば集客減は避けられない。かといって、コストアップ分を入場料に転嫁しなければ、収益は悪化する。経費膨張をめぐって、進むも地獄、退くも地獄のような状況が生まれつつあります」(井上学氏)

 統一地方選や補選では維新に追い風が吹いているが、万博の入場料問題がアダになり、大きな逆風を引き起こす可能性がある。入場券は今年11月末の販売を目指し、6月中旬に博覧会協会の理事会で料金が決定されるという。一体、いくらで決まるのか。