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2023/05/05(金) 19:48:06.79ID:/MJcxR3Ehttps://news.yahoo.co.jp/articles/fd97ae40e57b3536db88703ac72332997d4b0f9b
落語の世界で「本寸法」といえば、古典の人情噺、滑稽噺を粋に、そして情緒たっぷりに演じる正統派のことだが、春風亭一之輔はこれに「名人」「何十年に一人の本物」と付く。年間900席の高座を務め、いま最も忙しい噺家だ。
そんな一之輔が、なんでまたテレビのお笑いバラエティーなんかに……と言われながら、「笑点」のレギュラーを引き受けて2カ月。やらせてみると、やはりここでも達者だった。桂歌丸、三遊亭円楽が相次いで死去、高齢の林家木久扇は座布団にも座れず、いっこうに面白くならない林家三平は降板と、存続が危ぶまれるほど低迷していたのをたちまち立て直した。いまでは毎週のように世帯視聴率ベスト3入りである。
「一之輔は丸刈りに鋭い眼光、ずぶとい印象と、日曜夕方のお茶の間向きではありませんが、ふてくされているようなのに時々ニコッとするとウケるし、なにより司会の春風亭昇太や他の出演者との掛け合いが絶妙。もう何年もあそこに座っているような存在感はさすがです」(演芸評論家)
桂宮治とのけなし合いは、「歌丸VS円楽」を超えたといわれ、早くも名物になっているし、三遊亭の小遊三、好楽の後期高齢者コンビもからかわれてうれしそうだ。当代きっての人気落語家にからめば、自分も注目されるから、笑点メンバーはみな“いただき”ってなものなのである。
それにしても、一之輔が笑点レギュラーを引き受けたのは、どんな読みなのだろう。正統のイメージにマイナスであることは、本人も十分承知しているはずだ。「落語好きからは、本来の形ではないといわれる。だが自分の顔を日本中の人に認識してもらえるし、世界にも配信される。普段の芸を見てもらえるし、落語家を知ってもらう努力を少しでもしなければと思った」と語っている。
「寄席の割(ギャラ)は主任(トリ)の真打ちでも、多い時で数万円。客の入りが悪ければ、1万、2万という時もあります。一之輔クラスでも、寄席の収入だけではやっていけません。いや、人気者になるほど、着物もいいものをこしらえなければならないし、師匠やひいき筋への挨拶は増える。お囃子や裏方へのお礼、弟子への小遣いも弾まなければならないので、むしろ出費はかさみます。ホールなどの演芸イベントや独演会の収入で賄うわけですが、そのチケットの売れ行きを左右するのが知名度と話題性。そのプロモーションとして、『笑点』は最強ですよ」(前出の演芸評論家)
一之輔にとって、台本もある「笑点」は片手間仕事だろうが、高座のような“毒気”はセーブしているようだし、テレビの印象は強烈だから、自分が思っている以上に色がついてしまうかもしれない。
笑点としても、はたして一之輔の起用だけでマンネリを打破できるか。一時のカンフル注射で終わる可能性もある。
シン・笑点を仕掛けるなら、落語協会・落語芸術協会との関係で“共演NG”らしいが、いっそ次のメンバーは生きのいい立川流から起用したらどうか。そうだよ、笑点を番組企画した初代司会は立川談志だったんだから。