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討議が行われた参院憲法審査会=10日午後、国会内

 参院憲法審査会は10日、緊急事態時の参院の「緊急集会」について議論した。自民党は、緊急時に内閣が国会審議を経ずに法律と同程度の効力を持つ「緊急政令」を発出できることを憲法に明記するよう主張。立憲民主党は、憲法に規定される緊急集会で緊急時の対応は可能として否定的な見解を示した。

 自民の堀井巌氏は「特別の事情がある時は、内閣による緊急政令で対処する考え方がある。緊急政令について憲法に規定を置くべきだ」と唱えた。行政監視のため、緊急集会の活用も訴えた。

 これに対し、立民の杉尾秀哉氏は緊急集会による対応を主張。「緊急集会は、緊急事態に際しても国会中心主義や国民主権を貫くために設けられた制度だ」と指摘した。

 公明党の西田実仁氏は「原則、緊急集会で対応するとしても、極めて例外的な場合に衆院議員の任期延長、前衆院議員の身分復活を認める考えはどうか」と提案した。

 緊急事態条項に関し、日本維新の会の音喜多駿氏は「緊急集会では補いきれない長期にわたる緊急事態を想定しておくべきだ」と強調。一方、共産党の山添拓氏は「憲法は緊急事態条項をあえて定めず、緊急集会という規定に結実した」と語った。

 国民民主党の舟山康江氏は「緊急集会を無制限に開けるようにすることは規定の乱用にならないか」との考えを示した。

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