日本社会に対して、独自目線で歯に衣着せずに物申すYouTubeやTwitterでの言動がたびたび話題に上がるタレントのフィフィ氏。「世界的に見れば、日本は女性の天国」という日本のジェンダー問題について、新刊『まだ本当のことを言わないの? 日本の9大タブー』(幻冬舎)より一部抜粋、再構成してお届けする。

女性差別は大問題、男性差別は許される
〈娘はお父さんキモい、洗濯一緒にしないで…息子がお母さんに優しくすると、マザコン扱い。日本のここだけはほんとおかしいと思う。まず娘がお父さんを汚いもの扱い、これ夫婦間が影
響してると思うし、母親想いの息子をマザコン扱いって、女の嫉妬が影響してる気がするし、 やっぱ女尊男卑よね、日本は〉

2017年3月に私がツイッターでつぶやいた文章です。これが思いがけず、あちこちで議論を呼び、賛否両論さまざまな意見をいただきました。

「いやいや、日本は相変わらず男尊女卑だ」という声も少なくありませんでした。でも、本当にそうでしょうか。私の目には、日本では、女性はもはや虐げられてはいなくて、逆に、男性のほうが虐げられているふうに映っています。

「思春期の女の子が父親を避けるのは脳のメカニズムによるもので日本に限らない」といったリプ(他の人のツイートに返信をすること=リプライの略)もありました。

私はそういうことを言いたかったわけではないんです。確かに、思春期の女の子がお父さんを避けたり、息子がお母さんと仲良しなのを好ましく思わない人がいるのは、日本に限ったことではない。ですから、私は、この現象自体を批判するつもりはありません。

私がおかしいと思うのは、「父親がキモい」と言ったり、母親想いの息子を「マザコン」呼ばわりしたりすることが許されていること。テレビの街頭インタビューなんかでも、「うちの夫、朝起きると口臭いんですよ~」などと言って盛り上がったりするじゃないですか。

「愛情表現が下手だから照れ隠しで言っている」という意見もありますが、逆だとどう男性が「うちの嫁さん、朝起きたら髪ボサボサでノーメイクでオバケみたいで、息は臭くて」なんてことを言ったら、大変なことになるでしょう?

現代日本は〝女尊男卑〟社会です
今の日本は、男性が女性をけなすことは許されませんが、女性が男性を酷評する分には許されているんですね。やっぱり、日本はどう考えても女尊男卑の社会です。

以前、ある女性議員の方が、「おっさん政治をやめさせよう」とツイッターで発信したところ、「男性差別だ!」と盛大に批判されていました。

おっさん政治──。確かに、今の日本の政治をそう表現したくなる気持ちもわからなくはないのですが、この議員さんは、普段からジェンダーフリーを標榜している方です。その人が、こんな言い方をしてしまうんですね。

もしこの議員さんが「おばさん政治」などと言われたりしたら、大騒ぎするはずです。それなのに、どうして?と考えてみると、やはり「男性のことは悪く言っても許される」という日本社会にどっぷり浸かっているから。

女性を常に弱者と位置づけ、弱い立場だから何を言っても許されるという考えが根底にあるからではないでしょうか。

世界には、まだ女性に選挙権が与えられていない国が存在しています。サウジアラビアなどでは、女性が車の免許を取れるようになったのは、つい数年前のこと。このような国の目線で見ると、「日本は女性の天国じゃないですか」と思ってしまう。