ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長(56)が故ジャニー喜多川前社長の性加害問題について謝罪したことを受け、立憲民主党は15日、被害を訴えた元ジャニーズJr.の歌手、カウアン・オカモト(26)らを招いたヒアリングを16日に国会内で開くと発表した。法務省や警察庁の関係者も出席してカウアンの経緯説明を受けるという。実現すれば、全容解明に向け、ジャニー氏の性加害問題はさらなる広がりを見せそうだ。

3月18日の英BBC報道に端を発したジャニー前社長の性加害問題が、ついに国会へ波及した。

14日夜、事務所の公式サイト動画で「深くおわび申し上げます」と4度頭を下げたジュリー社長だが、当事者のジャニー氏が2019年に死去したことを理由に「確認できない中で『事実』と言い切ることは容易ではない」と認めなかった。

コンプライアンス委員会の設置など再発防止策を示したものの、灰色回答と言わざるを得ず、そこへ待ったをかけたのが野党第一党の立民だ。

ジャニー氏の性加害問題は、ついに国会をも動かした
未成年に対する深刻な性加害だとBBCが報じたことで国際的にも波紋を広げる中、19日から先進7カ国首脳会議(G7サミット)が広島で開催されるタイミングでのカウアンへのヒアリング。16日に国会内で行うとなると、海外メディアも注目すること必至だ。

カウアンが快諾すれば、4月12日に日本外国特派員協会で会見した際、被害を生々しく告白しており、国会でも同様のことを述べることになりそう。法務省や警察庁、こども家庭庁の担当部局の関係者が出席を予定しており、立民幹部は「社会全体で似たような性的虐待が多くあると思われ、今回は氷山の一角。再発防止策を議論する」と鼻息が荒い。

ただ、立民はジャニーズ事務所へのヒアリングには言及しておらず、全容にどこまで迫ることができるのか。早期の解散・総選挙が取りざたされる中だけに、アドバルーンを上げる政治利用ではといぶかる声もある。

政治家女子48党の立花孝志氏は15日夜、YouTubeで「全ての国会議員が出席できるところでやらないと駄目だ。立民の党利党略に乗せられている」とし、親交のあるカウアン本人に「国会の委員会の参考人としていく方がいい。明日は立民の人しか聞いてくれないのでキャンセルしたほうがいい」と説得したと明かした。

一方の政府は松野博一官房長官が15日の会見で「一般論として性犯罪、性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為で決して許されない。同意のない性的行為は性暴力だ」と訴え、「誰もが安心できる社会を実現したい」と力を込めた。

また、被害を訴えているカウアンは15日夜、YouTubeでコメントを発表。ジュリー社長が顔を出して謝罪したことに「感謝する」と語り、「ここからが始まり。どんどん声があがっていくことに期待したい。メディアがどう取り上げていくか」と日本版#MeToo運動を先導していくと宣言した。

■カウアン・オカモト(かうあん・おかもと) 1996(平成8)年5月24日生まれ、26歳。愛知県出身。ともに日本とブラジルのハーフである両親から生まれ、2012年にジャニーズ事務所に入所。同期にKing&Princeの平野紫耀(26)らがいる。ジャニーズJr.としてフジテレビ系「GTO」、テレビ朝日系「ガムシャラ!」に出演。16年に海外進出を目指して退所。18年からソロで音楽活動を中心に活動している。

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