どんぶり物の「丼」って何のこと?
日本人はどんぶり物が大好物。牛丼や天丼、親子丼、海鮮丼など、さまざまな丼が人気を博している。

これらの料理につく「丼(どんぶり)」の文字は、どういう意味なのだろうか。その由来は江戸初期の寛文年間(1661~73)にまでさかのぼる。

当時は食事を一杯ずつ鉢に盛り切りで売る「慳貪屋(けんどんや)」という店があった。そこで出される「慳貪ぶりの鉢」が「どんぶり」と略され、やがて鉢盛の料理全般を指すようになった。

「丼」という漢字は井戸を意味し、「井」の本来の字。井は枠を、真ん中の点は釣瓶(つるべ)やわいた水を表す。中国では「トン(タン)」と読み、井戸に物を投げ込んだ時の「ドブン」という水音に由来しているそうだ。「どんぶり」を漢字にあてる際、その水音とどんぶりの発音が似ていて、字の形もピッタリだったため、「丼」の字が採用されたという。

こうして丼の発祥の店となった「慳貪屋」だが、その店名は、客に対して「つっけんどん(突慳貪)」だということからつけられた。

「慳」は物惜しみすること、「貪」はむさぼるという意味で、ケチで欲深いことを「慳貪」という。しかし、あまりにも露骨なので、「見頓屋」という字が当てられることもあったようだ。そんな店なら潰れてしまいそうなものだが、おかわりなし、掛け値なしの安直さが受けて、江戸中期の寛政年間(1789~1801)頃まで江戸で大繁盛したという。

監修=多湖 輝『頭のいい子が育つ! 子どもに話したい雑学』(KADOKAWA)

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