ロシアのウクライナ侵略に戦闘員を派遣している露民間軍事会社「ワグネル」が6月1日から2か月間、ウクライナの戦線から離れる方向となった。創設者のエフゲニー・プリゴジン氏が21日、SNSで明らかにした。ウクライナ軍の大規模な反転攻勢を前に、ワグネル部隊の壊滅を避けるために様子見をしている可能性がある。

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23日、ウクライナ東部ドネツク州バフムト近郊を走行するウクライナの戦車=AP

 プリゴジン氏はSNSのメッセージで、「6月1日にはワグネルの戦闘員はウクライナの戦線に1人もいないだろう」と語った。ワグネルが露軍側の主力だった東部ドネツク州の要衝バフムト戦線について、「公約した土地はすべて制圧した。今後、進軍しない」と強調した。

 バフムトをめぐり、露国防省は21日に「全域制圧」を宣言したが、ウクライナは陥落を認めていない。

 ウクライナ軍の報道官は22日、地元通信社に「ワグネルは戦闘員や弾薬の不足が深刻なため、『勝利』を主張して撤退せざるを得なくなったのだろう」と指摘した。報道官はバフムト戦線で展開する露軍側兵力を約4万人規模と分析し、露国防省が戦力の低下を避けるため、ワグネルの撤退阻止に全力を挙げるとの見方も示した。

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