マンボウは今や多くの人が知る魚である。水族館で飼育しているところは少ないが、世界的に考えれば日本はマンボウをよく飼育している国である。マンボウと言えば、まん丸な体に二等辺三角形の鰭ひれを付けたあの形を思い浮かべる人が多いことと思う。

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マンボウといえば?で描かれた図。大人が描いた絵である。

 しかし、マンボウの仲間は1種ではない。マンボウの仲間は現在少なくとも5種が確認されている。それぞれどのような形態で、どのようにして見分けることができるのか、今回改めてそのポイントについてお伝えしよう。

分類学としてのマンボウ
 分類学的には、マンボウはフグ目マンボウ科マンボウ属マンボウと表記される。つまり、マンボウは大きな視点で見ると、フグの仲間に入るのだ。マンボウの属する最大のグループはマンボウ科である。マンボウ科には、マンボウ属、ヤリマンボウ属、クサビフグ属の3つの小さなグループが含まれ、属の名前があるということは、それぞれの属の中に少なくとも1種は存在するということが窺える。しかし、各属内に一体何種が存在するのかについては、厳密にはわかっていない。

 マンボウ属にはマンボウ Mola mola 、ウシマンボウ Mola alexandrini 、カクレマンボウ Mola tecta の3種が含まれる。この3種は様々な研究で遺伝的・形態的に異なるので、今後学名が変わることがあっても3つの種がいること自体は変わらないと考えている。もしかしたらもう少し増えることはあるかもしれない。

 ヤリマンボウ属の中にはヤリマンボウ Masturus lanceolatus 1種のみが含まれるが、世界的な分類学的調査は行われていないので、もしかしたら今後種が増える可能性はある。

 クサビフグ属の中にはクサビフグ Ranzania laevis 1種のみが含まれるが、ヤリマンボウ同様世界的な分類学的調査は行われていないので、もしかしたら今後種が増える可能性はある。

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マンボウ科の仲間たち

 といった感じが現状で言えるところで、マンボウ科全体としては少なくとも5種が認められている。どの属ももしかしたら少し種が増える可能性は残されているが、減ることは無いと私は考えている。ちなみに、アカマンボウはマンボウと名が付くものの、全く異なる魚のグループなのでマンボウの仲間では無い。

 マンボウ科魚類が他の魚類と大きく異なる点は、尾鰭おびれが無く、その代わりに背鰭せびれと臀鰭しりびれで構成された「舵鰭かじびれ」を有することだ。マンボウ科魚類の基本的な体の名称は前回詳しく解説しているため、そちらの記事を参照して欲しい。

 続いて、それぞれ種の外観的特徴(ある程度成長した個体)をより詳しく見ていこう。

つづき
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