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https://news.yahoo.co.jp/articles/a9e566ed854775d09d79ee0f3dd1d5c0d72d66a8

「今の国会での解散は考えていない」

 6月15日、岸田文雄首相は立憲民主党が提出を検討している内閣信任案について、否決する予定であると明かし、不信任案を受けて衆議院の解散をおこなうつもりはないと明言した。解散風が吹き荒れる永田町を鎮める一言だが、永田町では、多くの議員が6月16日解散を信じてきた。

【一覧表】自民党の世襲議員93人の当落予想

「岸田内閣の支持率は広島サミットで上がりましたが、年末までに、子ども対策の財源を確保するための増税を発表する必要があります。長男・翔太郎氏との “公邸宴会” 騒動でミソがついたものの、タイムリミットが決められたなかで、総理は傷の浅いうちに解散しようと目論んでいるという話でした。

 大方の予想では、自民党の議席は10〜30弱減るとされました。苦しいですが、単独過半数を維持できるなら仕方がない。つい最近まで、議員同士で顔を合わせると『選挙の準備はできた?』と聞くのが挨拶代わりでした」(自民党関係者)

 だが、岸田首相の “逃げ切り戦略” におよび腰な議員も多かったという。

「翔太郎氏の一件で、岸田総理は一族の地位を守ることにだけ執心する “悪しき世襲議員” という印象が強まりました。その影響の大きさは楽観視できるようなものではなく、一部の議員からは戸惑いの声が出ています。選挙をやりたがっていた自民党議員は、岸田総理と、周囲のごく一部だけです」(政治部デスク)

 政治ジャーナリストの野上忠興氏もこう語る。

「日本人は、この種の政治家にまつわる身内びいき問題に敏感に反応しがちですから、選挙では世襲議員そのものに厳しい視線が注がれるでしょう。のほほんと『地盤、看板、鞄』だけでは、当選できなくなったということです」

 そこで本誌は、選挙情勢の分析に定評のある野上氏に当落予想を依頼。小選挙区選出の、自民党のおもな世襲議員93人をリストアップし、6月16日に解散した場合の命運を占ってもらった。その結果、なんと41人が落選危機にあるという結果が出た。岸田首相が “敵前逃亡” したのも頷ける結果だ。

「そもそも、前回の総選挙で、次点との得票差が1万票以下だった議員が12人。2万票差以内で当選した議員は28人いました。公明党の票は1選挙区で1〜2万票といわれますから、公明党が本格的に支援してくれない場合、2万票差以内で当選した議員は、それだけで赤信号です」

 たとえば、川崎ひでと議員は、祖父が厚生大臣、父も厚生労働大臣などを務めた三世議員だが、前回の衆院選ではわずか990票差の “薄氷の勝利” だった。

「橋本岳議員も、あの “橋龍” の息子でありながら、前回選挙ではわずか5000票差の勝利。逆風が吹くなかでの選挙ではかなり危ういですよ。林幹雄議員も以前から落選危機といわれてきましたが、今回は厳しいでしょう。元総務会長の佐藤勉議員も、前回は5000票以下の得票差で勝っていますから、落選の危機といえるかもしれません」