【ジャカルタ=水野祥】インドネシア訪問中の天皇、皇后両陛下は19日夜、ジャカルタの宿泊先のホテルで、日本とゆかりのあるインドネシア人計約60人と懇談された。第2次世界大戦後もインドネシアに残り、オランダとの独立戦争(1945~49年)を戦った残留日本兵の子孫らも招かれた。天皇がインドネシアの残留兵の子孫らでつくる「福祉友の会」のメンバーと現地で面会するのは初めて。

https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/06/20230620-OYT1I50064-1.jpg?type=large
オランダとの独立戦争を戦った残留日本兵の子孫らと面会される天皇、皇后両陛下(19日、ジャカルタで)=代表撮影

 残留兵は大戦後、約1000人いたとされるが、独立戦争で多くが死亡・行方不明となり、最終的に同国には約300人が残ったとみられる。日本では長らく帰国の指示に従わなかった「脱走兵」とみられていた。

 この日の懇談には、同会のメンバー4人も出席。北海道出身の残留兵だった石井正治さん(故人)を父に持つ日系2世のヤント・イシイさん(72)は、天皇陛下から「1世の方々はご苦労なさいましたね」とねぎらいの言葉をかけられた。ヤントさんは「両国の友好関係を次の世代に引き継いでいきます」と答えたという。

 懇談後、ヤントさんは「天皇陛下にまさかあんな優しい言葉をかけてもらえるとは思わなかった。天国の父も喜んでいると思う」と笑顔で話した。

 残留兵のうち28人は、独立戦争で犠牲となったインドネシア兵士ら約1万人とともにジャカルタのカリバタ英雄墓地に埋葬されている。両陛下は20日、同墓地を訪れ、供花される。

 宮内庁によると、皇后さまは19日の懇談で、残留兵の子孫らに「心を込めて供花をさせていただきたいと思います」と話されたという。

https://www.yomiuri.co.jp/koushitsu/20230620-OYT1T50105/