ナイフのほか、はさみや栓抜きなどのついた多機能「十徳ナイフ」。これを所持するのは、災害の備えか、それとも法に触れる刃物所持か、注目の裁判が始まりました。

22日、大阪高裁では、「十徳ナイフ」をカバンに入れていたとして起訴された男性の控訴審がはじまり、男性側は無罪を、検察側は控訴の棄却を求めました。

鮮魚店を営む男性(48)は、2021年12月、大阪市福島区の路上で、交通違反に関する警察官の職務質問を受けた際に、「カバンの中に十徳ナイフが入っている」と指摘され、軽犯罪法違反の罪で略式起訴されました。

2023年1月、大阪簡裁は、「切れ味鋭い刃がついているのに、安易に長年持ち歩いていた」などとして、男性に科料9900円の罰金刑を言い渡したため、男性側が控訴しました。

22日の控訴審で男性側は、「十徳ナイフは何か必要が生じたときに役立つと思って持ち歩くもので、『正当な理由』がある」などとして、無罪を主張しました。

一方、検察側は、「繁華街を通行するだけのために、わざわざ十徳ナイフを持ち歩く社会的合意はない」などとして、控訴の棄却を求めました。

裁判は即日結審し、判決は8月1日に言い渡される予定です。

▼裁判所の判断も分かれる…同種事例で2023年3月には「無罪判決」も

十徳ナイフの携帯をめぐる裁判では、車の座席の収納スペースに十徳ナイフを5年以上入れていたとして、軽犯罪法違反の罪に問われたケースで、2023年3月、新潟簡裁が「携帯していた目的は人に向けられた護身用ではなく、災害用・防災用であって、日常生活上の必要性から社会通念上相当」だとして新潟簡裁で、無罪判決が言い渡され、確定しています。

https://www.mbs.jp/news/kansainews/20230622/GE00050639.shtml