0001きつねうどん ★
2023/06/29(木) 08:05:06.77ID:3u75e8WD「しんどいことを生きるパワーに変えていく姿が好き」とハルモニの魅力を語る金監督=東京都内で
在日コリアン集住地区・川崎市川崎区桜本に生きる女性たちの姿をとらえた映画「アリランラプソディ~海を越えたハルモニたち~」が完成した。桜本を二十年以上撮影してきた在日二世の金聖雄(キムソンウン)監督(60)=東京都武蔵野市=が手がけ、川崎市内各地で八月、ハルモニ(おばあさん)と回る特別上映会が開かれる。「戦争を知る亡き母の世代が、ここで確かに生きたという証しを残したい」と金監督は話す。(安藤恭子)
日本の植民地支配を背景に、戦前から海を渡った朝鮮の人たち。一九五〇年に朝鮮戦争が始まり、五二年のサンフランシスコ講和条約発効とともに日本国籍を失った。「戦争が終わっても帰れず、権利も国籍も奪われてきた」と金監督。自身は大阪・鶴橋に生まれ、六人きょうだいの末っ子。韓国・済州島出身の母は、日本語の読み書きができないながらも、婦人服の卸で生計を支えてくれた。
映画は、差別と貧困の中、ビル清掃や焼き肉店の皿洗いなどをして働きづめだった一世の語りや、桜本の共同学習の場「ウリマダン」で読み書きを学び、作文の表現や交流を重ねるうちに、自身の人生を肯定していく過程を描く。
二〇一五、一六年に「朝鮮人をたたき出せ」と叫ぶヘイトデモが桜本を襲った。ハルモニたちも「さべつはゆるしません」と記して闘った。生活の場を襲ったこのデモへの抗議を契機とし、国のヘイトスピーチ解消法が一六年に成立した。
二一年春、桜の木の下で朝鮮民謡のアリランを歌い舞う、車いすのハルモニたちの笑顔は、穏やかだ。
金監督は言う。「描きたかったのは苦難ではなく、理不尽をたくましく生きたハルモニたちの『人間賛歌』。なぜ在日がここにいるのかという歴史が分かれば、『朝鮮に帰れ』というヘイトの言葉は絶対に言えないはずだ」
上映会は八月四日午後六時 川崎市労連会館(川崎区)▽五日午後二時 在日大韓基督教会川崎教会(同)▽十五日午後二時、六時 市総合自治会館(中原区)▽二十一日午後二時、六時 市アートセンターアルテリオ映像館(麻生区)。各回、金監督とハルモニのトークがある。当日千五百円、前売り千三百円。
予約・問い合わせは映画の公式サイトまたは実行委員会の三浦さんへ。
◆京都で上映 270人鑑賞 97歳徐さん「胸いっぱい」
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映画上映後、登壇したハルモニや川崎の関係者たち=京都市南区で
作品は、桜本のハルモニたちが25、26日に京都府宇治市の在日コリアン集住地区・ウトロ地区などを訪問した際、京都市内で上映された。270人が集まり、ウトロの住民9人も鑑賞。「いろいろな草を工夫して食べるなど親世代の苦労を思い出した」「ウトロにも昔、識字学級があった」などと思いを寄せた。
上映後には、ハルモニたちがチマ・チョゴリの晴れ着姿で登壇。最年長の徐類順(ソユスン)さん(97)が「こんなにたくさん来てもらい、胸がいっぱい」とあいさつした。
出演者らによるトークショーでは、共同学習の場「ウリマダン」で長年、在日女性らと共に学んできた鈴木宏子さん(85)が「在日にとって日本は住み心地が良い場所ではない。この映画は日本人を告発するもの」と指摘。朝鮮半島から離れる状況を生んだのは日本だとして「それを忘れてはいけない」と力を込めた。
20歳のころからウトロに住む2世の金真木子(キムジンモクジャ)さん(82)は、食べていくために土木作業や茶摘みなどの仕事も経験したことを思い出したという。「これまできついことをされても朝鮮人は黙って耐えてきた。その歴史を分かってくれる人が増えれば、社会が変わっていくのでは」と話した。(森田真奈子)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/259665