2日は夏至から11日目に当たる「半夏生(はんげしょう)」の日。関西では旬のタコを食べる風習があるが、兵庫県佐用町三日月の鮮魚店「魚竹あべ鮮魚」の阿部浩也店長(32)は仕入れた5・4キロの巨大な明石ダコ(マダコ)を売らずに、姫路市立水族館(同県姫路市西延末)に展示してもらうことにした。専門家によると、マダコの大きさでは日本最大となる可能性があるといい、阿部さんは「明石焼き千個分にはなったかも。実際に見に来て、播磨灘の豊かさを感じてほしい」と呼びかけている。(真鍋 愛)

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水族館1階の水槽に展示されている日本記録級のマダコ=姫路市立水族館(撮影・橘高 声)

 「でっかいなぁ。ミズダコかと思ったけどマダコか」。先月26日、姫路市中央卸売市場(同市白浜町)で阿部さんはその巨体に目を奪われた。明石市沖で水揚げされたメスで、頭に見える胴体部分は約22センチもある。よく動くため正確な体長は測定できていない。

 競り落とした阿部さんは飲食店に卸そうとしたが、「食べられたらあっけなく終わる。記録に残したい」と思い立ち、水族館に連絡。引き取りに来た飼育員の狩野基樹さん(28)らが「すごい」と珍しがる様子を見て、「損はしたが、こうして正解だった」と笑う。

 水族館によると、マダコの大きさについて、正確な記録は残っていないが、タコの生態では第一人者にあたる奥谷喬司・東京海洋大名誉教授に確認したところ、「日本記録と言っても差し支えない大きさ」とお墨付きをもらったという。

 飼育員の杉原直樹さん(32)は「3キロを超えると十分大きいと言われるが、その倍近い。『こんなに大きいのは見たことない』とみんな口をそろえる」といい、「マダコの寿命は1年ほどだが、ここまで育ったなら、ずいぶん長生きしているのかも」と分析する。

 とっさの思い付きで、人間の胃袋行きを免れたマダコ。水族館の水槽で展示しており、餌をよく食べ、のんびりと過ごしている。

 姫路市立水族館の開館時間は午前9時~午後5時。大人520円、小中学生210円。火曜休館。

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