https://www.townnews.co.jp/0304/assets_c/2023/07/a001226365_05-thumb-329xauto-840331..jpg
町田を特集したテレビ神奈川のページ

町田市域が神奈川県から、現在の東京都へ移管されて今年4月で130年。親しみを込めて未だ、「神奈川県町田市」と揶揄されることも多いが、町田にとって神奈川との結びつきは深いままのようだ。

行政学を専門とする東京都立大学(八王子市)の松井望教授によると、東京への移管は伝染病対策の一環だったという。当時、汚染された水や食物を口にすることで感染するコレラが流行。東京の水源であった多摩川の上流に位置する町田を含めた現在の一部多摩地域を神奈川から、移管させることで、水質の衛生管理を徹底させたいというねらいが東京にはあったのだという。

また、「政治勢力の分断の目的もあったよう」と松井教授。当時の政府が進める軍艦建設費の拡張に反対する、多摩地域を拠点にしていた政治団体を神奈川から、東京へ移すことで、その勢力を弱めるねらいもあったと思う、と話す。

松井教授は「1893年に東京へ含まれたことによって、都から町田への交付金は現在、35億円を超える。安定した財源を確保できるのは移管されたメリットの1つではないでしょうか」と笑顔をみせる。

130年が経過したなか、町田は未だ、「神奈川県町田市」とも揶揄されることが少なくない。周囲を神奈川の街に囲まれ、市外局番は隣接する相模原市と同じ「042」。町田の街なかを見渡しても、「神奈川度」は高く、神奈川を拠点とするバス会社の「神奈川中央交通」が路線バスを走らせ、同県の地方銀行、「横浜銀行」の支店も見られる。

神奈川のTV局「テレビ神奈川」の人気番組、「あっぱれ!KANAGAWA大行進」は県内の全市町村をくまなく巡ることをコンセプトにしているものの、今年3月に町田を特集。同番組の担当者は「リクエストをいただいて、10数年前から『レギュラー』になっている。町田を『神奈川扱い』することで、毎回視聴者にいじってもらえるのも大きい」とその意図を語る。

松井教授は「20年の国勢調査をみると、都内の自治体で神奈川への人の流出が最も多いのが町田。神奈川が町田市民の生活圏の1つになっていることも影響していると思われる」としている。

https://www.townnews.co.jp/0304/2023/07/06/686209.html