日本維新の会・藤田文武幹事長は19日に国会内で開いた会見で、河村健夫元官房長官の長男・河村健一氏を衆院東京6区(世田谷区西部)の公認候補者として擁立することを正式に発表した。

 健一氏の父・建夫氏は自民党に所属。文科相、麻生太郎内閣では官房長官の要職を歴任した重鎮として知られる。政界引退後は、自民党〝二会派〟に所属し、現在は「自民党 麻生副総裁特別補佐」の肩書を持つ。

 健一氏は一昨年の衆院選、昨年の参院選で自民党の公認を受けて立候補したがいずれも落選。永田町では健一氏が次期衆院選で自民党ではなく、維新から立候補することに「異例の事態だ」と受け止められている。

 藤田氏は「官房長官の息子さんであり、秘書官も務められました。政治経験も豊富。私も面談させてもらったが、非常にいい人材で、東京6区は本人からの希望もありました」と説明した。

 自民党内では健一氏が離党し維新から三度目の正直で政界進出を目指すことに「父親に迷惑をかけた格好だ」「党執行部が力を持ちすぎると、落選者がさまよう事態に追い込まれてしまう」と賛否の声が上がっている。

 その理由は「父の健夫氏は一昨年の衆院選で自身の選挙区『山口3区』の公認バトルで当時、参院議員だった林芳正外相に敗れて政界引退に追い込まれた。健一氏は選挙区を失くし、世襲が消滅した。党執行部は健一氏に前回の衆院選で公示前日に北関東ブロックからの出馬に変更させたが結局、落選した。昨年の参院選は比例代表で出馬したが、自民党山口県連から冷遇されて落選。岸田執行部の落選者たちへの血も涙もない対応は評判がよくない。自民党から出られなくなった優秀な人材は、維新に持っていかれるでしょう」(自民党関係者)

 藤田氏は自民党の複雑な〝お家事情〟に「河村(健一)さんのように自民党のなかで紆余曲折があって、うちに気持ちが向いてくれる方は、改革志向がある。他党出身者には『骨をうずめるつもりでやってください』と確認しています。自民党の受け皿になる一人の仲間としてやってくれる方は迎え入れたい」と語った。

 健一氏が選挙戦にチャレンジする東京6区は、前回の衆院選で立憲民主党の落合貴之氏が自民党の越智孝雄氏に勝利。果たして激戦を制することができるか。

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