https://cdn.mainichi.jp/vol1/2023/08/03/20230803k0000m040239000p/9.jpg
見つかった落書きを指し示す東大寺の上司永照執事長=奈良市の東大寺で2023年8月3日午後3時55分、上野宏人撮影

 世界遺産・東大寺(奈良市)の「二月堂参籠(さんろう)所」(国重文)に、動物のような落書きがされているのを3日早朝、参拝者が発見した。寺から通報を受けた奈良県警奈良署が文化財保護法違反の疑いで調べている。

 同署によると、落書きが見つかったのは同参籠所の一部に当たる「食堂(じきどう)」の木製扉。扉の外側の地面から高さ約1・4メートルの所に、猫のような形の傷(縦43センチ、横30センチ)がつけられていた。指の腹を強く押しつけて描いたとみられ、扉の木材が白っぽく変色していた。付近は誰でも立ち入ることができ、3日午前6時ごろに訪れた参拝者が気づいて寺の職員に届け出たという。

 二月堂参籠所は鎌倉時代後期の建物で、二月堂で営まれる伝統行事「修二会(しゅにえ)(お水取り)」の際、法要を執り行う練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる僧侶が寝泊まりする。食堂は僧侶が行事中、1日1度の食事を取るのに使われる。

 同寺の上司永照(かみつかさえいしょう)執事長は「非常に残念。文化財をむやみに傷つけるのはあってはならない」と厳しい表情を見せた。今後、境内の巡回など防犯対策の強化や修理方法について、県などと検討するという。【川畑岳志、上野宏人】

https://mainichi.jp/articles/20230803/k00/00m/040/232000c