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デモ隊に対し、「静かに」などと書かれたカードを掲げる人々=6日午前、広島市中区(甘利慈撮影)

広島に原爆が投下されてから78回目の「原爆の日」を迎えた6日、平和記念公園(広島市中区)では反戦・反核を掲げる団体が演説やデモ集会を開催。慰霊や追悼の趣旨とかけ離れた異様な光景に、参列者からは「非常識だ」「慰霊の日なのになぜ」との声が聞かれた。

平和記念式典会場周辺に早朝から集まったのは、「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」の参加者ら100人以上。公園の一角を占拠し、一部はヘルメットにマスク姿で、物々しい雰囲気に包まれた。

太鼓を打ち鳴らしながらのデモ行進では、式典に出席した岸田文雄首相に対し「広島から出ていけ」「沖縄を戦場にするな」などとシュプレヒコール。これに対し、「静かな8月6日を願う広島市民の会」は「8月6日は慰霊の日 静かに祈ろう」などと書かれたプラカードを掲げ、無言で抗議。広島市職員も、「平和式典挙行中はお静かにお願いします」とのプレートを示した。

G7広島サミットで各国首脳が原爆資料館を訪問したことで、これまで以上に世界から注目されている広島。公園を訪れた男性は「ここは主義主張の垣根を越えて、亡くなられた人々に哀悼の意をささげる場。公園の自由利用にかこつけた集会は迷惑だ」と疑問を投げかけた。

母親と慰霊碑に手を合わせていた同市中区の中学3年の男子生徒(14)は「迷惑で非常識。平和を思う気持ちが一つになれない」。名古屋市の男性会社員(26)も「慰霊の日にこんな演説をやっているのかと驚いた。主張するのは自由だが、今日のこの場ではないと思う」と話した。

原爆の投下時刻に合わせた午前8時15分の黙禱(もくとう)の瞬間だけは静寂が広がったが、デモ行進などはすぐに再開。原爆ドームを向いて集団で地面に寝転ぶ「ダイ・イン」を行う集団もあった。

広島市は令和3年6月、式典を「厳粛の中で行う」と定めた平和推進基本条例が施行されたが、デモを規制する法的性質は伴っていないため、有名無実化している。(倉持亮)

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