【ワシントン=池田慶太】中国を拠点とするグループが50以上のソーシャルメディアを利用し、日本や台湾、米欧を標的とした世論誘導を試みていることが、米IT大手メタが29日公表した報告書で明らかになった。偽アカウントで大量の情報を流す「スパムフラージュ」と呼ばれる手法が使われていた。報告書は「中国による過去最大のプラットフォーム横断型の影響工作」と指摘している。

 スパムフラージュは要求されていない情報を送りつける「スパム」と「カムフラージュ」をかけた造語で、偽アカウントで身分を隠し、情報を大量発信するプロパガンダ手法。中国共産党主導の世論戦の一環とみられ、中国当局者の関与も確認されたという。

 報告書によると、中国の複数のグループは大量の偽アカウントを作り、台湾に中国への降伏を求めるビデオや、米国が新型コロナウイルスの起源だとする偽情報を大量にSNSで発信。同じ内容を別のグループが別のSNSで発信したり、大量にフォローしたりして拡散させていた。発信は主に中国語と英語だが、日本語も含まれていた。

 フェイスブックは中国に関連する約7700アカウント、インスタグラムは15アカウントを削除した。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20230830-OYT1T50278/