家族で近所の公園を散歩中に、路上演奏を行う韓国人男性から「愛国者ですね」と声をかけられた。もちろん、私の記事を読んでくれた感想などではない。少子化が最も早く進む韓国では、娘3人を連れ歩く姿は「愛国者」そのものなのだそうで、よく話しかけられるのだ。

8月末に発表された韓国政府の統計によると、1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は4~6月期、0・70を記録し、過去最低を更新した。例年下半期は出生率が低下することから、年間では22年の0・78からさらに低下し、0・6台に突入するとの予想も出る。

結果が伴わず、「カネの無駄遣い」を批判される韓国の少子化対策だが、地元幼稚園に子供を通わせてみると、福祉の充実に驚く。夏休み中も教諭が順に休暇をとるだけで受け入れ態勢は通常期間とほぼ変わらず、給食も毎日提供される。これらはすべて無料で、日本の共働き世帯には羨(うらや)ましい限りだろう。学校外教育の費用負担があるにせよ、韓国の若年層が出産をためらう理由は、経済問題以外にあるのではないか、と強く感じ始めている。

なお、私の場合は外国人ということで韓国の潤沢な多子世帯支援もほとんどが対象外に。「愛国者」の道程は厳しい。(時吉達也)

https://www.sankei.com/article/20230905-PFA325FLHNIZVBN5JU4HTA42MU/