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軍艦に搭載されたRBU-6000対潜迫撃砲(viper-zero / Shutterstock.com)

ウクライナでの戦争で消耗戦が長引く中、損失を補う戦闘車両の確保に苦戦するロシア軍が投入する車両は、一層奇妙なものになっている。

これまでに、旧式で全く安定しない2M-3艦載砲を搭載したMT-LB装甲けん引車や、攻撃ヘリから拝借したUB-32多連装ロケット弾発射機を載せたBTR装輪装甲車、多連装ロケット弾発射機と自動迫撃砲を前後に搭載したMT-LBなどが登場してきた。

そしてこのたび、こうした中でもおそらく今までで最も奇抜な車両が登場した。RBU-6000対潜迫撃砲を搭載したMT-LBだ。9月23日にSNSに投稿された写真には、ウクライナの前線に向かうと思われるトラックの荷台に載せられたRBU-6000搭載のMT-LBが写っている。

RBU-6000は、第2次世界大戦時に英国が開発したヘッジホッグ対潜迫撃砲を改良し、1961年に開発された。ヘッジホッグは重量29kgの砲弾を24発装填でき、最大約274m前方に発射できるというもので、日本、ドイツ、イタリアを中心とした枢軸国の潜水艦を追い詰めるのに使われた。放たれた迫撃砲は真下に沈み、衝撃で爆発した。

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RBU-6000はヘッジホッグよりもずっと高性能だ。直径213mm、重量113kgのRGB-60ロケット弾を12発装填でき、射程は4.8kmを超える。対潜ヘリや潜水艦から発射される巡航ミサイルが使われる時代にはあまり役に立たないが、それでもRBU-6000はロシア海軍の大型戦艦の大半に装備されている。

陸上ではRBU-6000は基本的に、一斉発射できる超大型の迫撃砲として機能する。全く役に立たないわけではなく、こうした使用法に前例がないわけでもない。英軍とオーストラリア軍は第2次大戦中に対潜迫撃砲を地対地で使っていた。現在のロシア軍の戦法では、艦載型のRBU-6000を対地爆撃に使用することが認められている。

だが、装甲けん引車に搭載されたRBU-6000がうまく機能するとは考えない方がいい。海上で使用される際には、RBU-6000はブーリャ射撃統制装置と統合されている。MT-LBに搭載して使うには、手動で照準を合わせなければならない可能性が高い。同じく、本来は艦載型の兵器だがMT-LBに搭載され、「数撃てば当たる」方式で使われている2M-3艦載砲も、これと同じだった。

つまり、RBU-6000を搭載したMT-LBは、粗雑で行き当たりばったりな様相が増すロシア軍が新たに投入した、粗雑で行き当たりばったりの武器なのだ。

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